京都大学メールマガジン Vol.69

京都大学メールマガジン Vol.69

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京都大学メールマガジン Vol.69
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目次:
◆巻頭言:産官学連携本部長 牧野 圭祐
◆総長メッセージ「人々との出会い(12)」
◆京都大学文化系サークルシリーズ/奇術研究会会長 西田 明弘
◆大学の動き
◆研究成果
◆イベントのお知らせ
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◆巻頭言:産官学連携本部長 牧野 圭祐

 安価な労働力による国際低価格販売競争はやがて終焉を迎え、高度なイノベーションに立脚した新産業創生競争が始まろうとしています。ここでは多様な最先端基礎研究が必須ですが、これに要する費用は膨大であり、企業単独の資金では不可能と考えられています。この解決策として大学の多様で奔放な研究が注目されており、我が国でも教育・研究に加えて第3のミッションとして「研究成果による社会貢献」が加えられました。今や大学向け国家予算の多くは産学連携を前提としており、産学連携事業をあずかる唯一の学内機関である当本部の役割は重大です。

 当本部の前身は約10年前に設立されましたが、改革を重ね、平成19年には総長直結の50名強から成る現組織になりました。業務は二つです。一つは、本学の研究結果を「基本特許」として獲得し、産業界へライセンス化あるいは譲渡することで産業の発展に寄与することです。最近40%の株式を取得した関西TLOによるマーケティング技術が大幅に向上し、知財ライセンス収入等が昨年度200万ドルを超え、国際水準に達しました。社会貢献が着実に前進しています。今後の目標は、基本特許によるベンチャー起業・育成です。ベンチャー起業に興味をもつ若い世代の育成が重要と考え、ここ数年間は教育システムの充実に注力しました。今や500名を超える多数の諸君が全学共通科目「起業と事業創造I・II」を聴講しています。次の課題はentrepreneur(事業家)の投資意欲向上と京大ベンチャーファンドを活用した京都大学発ベンチャー起業の実現です。もう一つの業務は産業界との共同研究発掘・推進です。この3年間余に全力を挙げて推進した国際産学連携ネットワーク作りが功を奏し、国内の企業に加えて欧米の大企業からのアプローチが急増しています。国際産学連携では「オープンイノベーション」がキーワードですが、準備は上々です。

 上の二つの事業を成功させるには、情報の発信と獲得による国際連携の一層の強化を基盤にした技術移転活動が重要であり、当本部は自信をもってこれにこたえうる組織に近づいたと思います。これらの活動を支えるためには国際的に通用する法務、特に企業法務に関する力が必要ですが、この点でも当本部は国内有数の力を蓄えていると考えます。

 今後はすべてが低迷気味な我が国が力量通りの力を発揮してあの80年代の繁栄を再現できるよう、産学連携に貢献していく所存です。


◆総長メッセージ「人々との出会い(12)(最終回)」:松本 紘

 大学助手時代、「いつかは世界へ」という思いもあり、31才から2年間米国へ留学しました。当時、まだまだ留学は稀で、恩師や多くの研究室の仲間が空港まで私と家族の渡米を見送りに来てくださったことを、今でも良く覚えています。

 「留学先は自分で探す」という研究室の伝統に従って、私はNASAのエームズ研究所に応募し、カリフォルニアでの研究生活を始めることになりました。エームズ研究所ではカニ星雲からの強烈なX線放射の原因となる電磁流体波による電子加速の非線形プロセスを明らかにする研究に従事しました。カリフォルニアを選んだ大きな理由の一つが、福祉サービスと天候に恵まれた地で家内や脳性マヒの長男への家族サービスをしたいという思いでした。実際に、研究面でも生活面でも非常に充実したアメリカ生活を過ごすことができました。

 エームズ研究所では当時としては世界最速といわれたスーパーコンピュータを使うことができました。私の行っていた研究では、かなり長時間のCPU使用が認められたのですが、ある時、結果が出るまで時間がかかるため友人とテニスに興じ、戻ってきた時に出力プロッターに人の群れができていました。XYプロッターという紙の上をペンが紙一面に曲線を描き、何度もペンが通る箇所の紙が破れ、キーコ、キーコとペンだけが動いていたのです。「誰の出力だ」という声が聞こえ、名乗り出てすぐ停止させた時はずいぶん恥ずかしい思いをしました。

 エームズ研究所で知り合ったのは米国の研究者のみならず、カリフォルニアに来ていた他大学の日本人研究者、日本の企業人、留学生、そして現地の日系人でした。米国に到着してすぐの家のレンタルでは、東京大学から来ていた村上正秀さん(後の筑波大学教授)にずいぶんとお世話になりました。入居したアパートには東京大学の航空教室の研究者がおられ、彼らとは家族ぐるみでお付き合いさせてもらいました。

 私は淡麗より芳醇なつきあいを好み、あけっぴろげで社交好きでしたので、多くの人たちが我が家を訪れていました。長尾真元総長も若き教授でしたが、レンタカーで颯爽と我が家に訪問してくださったことをよく覚えています。元来、物怖じしない性格でもあり、渡米直後、車を新聞広告で探して購入したり、アパートの交渉、日本人会のお世話、車の修理などを自己流でしているうちに、「なんでも屋松本」という噂が立ち、家の仲介、車の購入、留学中に配偶者が亡くなった方のお葬式、パーティ、留学や学会のお世話など、見知らぬ人も含めて多くの人から多様な相談が持ちかけられるようになっていました。お蔭で、京都大学に閉じこもっていたら絶対に知り合えない、米国の友人はもとより日本人と多くの知己を得ることができました。

 また、スタンフォード大学の研究仲間も増え、帰国後も客員研究員として招かれるなど現在に至るまで長く交流しています。その時の友人が現在トルコのコッチ大学の学長に就任し、再び学長同士で旧交を温めています。NASA時代に知り合った数多くの人々は、私の人生を飾る宝石となって輝き、その方々と出会えたことに私は大変感謝しています。

(今号にて、総長メッセージ「人々との出会い」シリーズは終了となります。ありがとうございました。)


◆京都大学文化系サークルシリーズ/奇術研究会会長 西田 明弘

 京都大学奇術研究会2012年度会長の西田明弘です。

 京大奇術研の活動は、11月祭で開催しているMagic Castleでのマジックショーがメインとなります。その他地域の方々からの出演依頼を受け、子供会や老人ホーム等のイベントでマジックを披露しています。11月祭では毎年2000人以上のお客様に来ていただき、地域の方々にもたくさん来ていただいております。11月祭や出演依頼を通して、地域の方々にマジックに触れてもらい、交流を深めることを大切にしています。

 普段の活動は主にマジックの練習です。11月祭での出演に向けて一年間かけて練習しており、現在も練習に励んでいます。どのような現象を起こし、どのような手順を踏めば、よりマジックが効果的に演出できるかを日頃から試行錯誤しています。定期的に小さな発表会も設け、サークル員同士互いに切磋琢磨しております。その他練習だけではなく、他大学のマジックサークルとの情報交換や交流など、京大奇術研という枠にとらわれず多岐に渡って活動しています。

 また先日3月17日には京大奇術研として初めての学外公演を開催させていただきました。右も左も分からないことばかりでしたが、他大学のマジックサークルのノウハウもいただき、無事終了することができました。しかし、やはり初の学外公演というだけあって様々な反省点がありました。これらを今後いかに改善し、より皆様に楽しんでいただける公演にできるか、そしてそれをいかに後輩たちに伝えることができるかが僕たちの課題です。京大奇術研オリジナルの公演を作り上げられるよう努力していきます。

 この歴史あるサークルの会長であることを誇りに思い、より一層素晴らしいサークルにできるようこれからも全力で活動していきたいと思います。拙い文章でしたが最後まで読んでいただきありがとうございました。


◆大学の動き◆

○平成23年度「京都大学総長賞」表彰式を挙行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/120319_1.htm

○国際交流科目「「復興」から学ぶ21世紀の防災と環境」を開講しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/120303_1.htm

○京都大学で第2回日越学長会議を開催しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/120313_2.htm

○スリランカ人同窓会設立に向け動き出しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/120229_2.htm

○第2回起業能力検定試験を実験的に試行しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/120229_1.htm

○第4回京都大学優秀女性研究者賞(たちばな賞)表彰式を開催しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/120302_1.htm

○WPI-iCeMSがアメリカ科学振興協会(AAAS)年次大会にブースを出展しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/120220_1.htm

○赤松明彦 理事・副学長が第2回日本・北アフリカ学長会議に出席しました。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/120211_2.htm

○栄誉
・佐藤文彦 生命科学研究科教授、熊谷英彦 名誉教授および坂口志文 再生医科学研究所客員教授が日本学士院賞を受賞
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/120312_2.htm

・吉川一義 文学研究科教授が恩賜賞・日本学士院賞を受賞
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news7/2011/120312_1.htm

◆研究成果◆

○真横にも、どの方向にも移動できる!未来型の乗り物を開発-全方向駆動車輪で移動を便利に簡単に-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120322_1.htm

○初期人類への最初の一歩:なぜわれわれの祖先は二足歩行になったのか、チンパンジー研究から解明されたこと
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120320_2.htm

○室温付近の広い温度範囲で電圧による磁力のスイッチが可能に
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120320_1.htm

○慢性痛の原因となる神経炎症応答の増悪機構を解明-新しい鎮痛薬開発の可能性-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120315_3.htm

○ニホンザルはなぜ樹皮を食べるのか
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120315_2.htm

○「暗黒ショウジョウバエ」のゲノム解読-暗闇への適応のメカニズム
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120315_1.htm

○女性は生理が近づくとなぜ憂鬱になるのか?
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120308_1.htm 

○高齢者の転倒予防のための新しいコンセプトを発表~コンセプトを活かしたエクササイズマットを京都精華大学との共同プロジェクトで制作
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120301_1.htm

○夏目漱石の坊っちゃんのように、間違った事が大嫌いで義憤に駆られ、損ばかりする行動様式に脳内セロトニンが関与
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120228_1.htm

○溶融高分子の新しい構造変化を発見-加圧によるナノスケールの構造変化-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120228_3.htm

○炭素材料にホウ素を組み込む新手法に成功-革新的な有機エレクトロニクス材料の開発に向けて躍進-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2011/120228_2.htm

◆イベントのお知らせ◆

○退職教員最終講義
・松久寛 工学研究科教授
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120429_1.htm

○平成23年度大学院学位授与式
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120326_1.htm

○平成23年度卒業式
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120327_2.htm

○学術情報メディアセンターセミナー「GPUコンピューティングと流体力学」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120327_1.htm

○第23回 はんなり京都 嶋臺(しまだい)塾 「つむぐ、まとう」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120328_1.htm

○京都人類学研究会3月例会「呪いには虫の糞がよく効く」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120329_1.htm

○第3回金環日食観測準備勉強会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120331_1.htm

○工学研究科 創成化学専攻群・先端化学専攻群 入試説明会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120402_1.htm

○生態学研究センター 2012オープンキャンパス
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120403_1.htm

○第23回品川セミナー 「霊長類の野外調査とゲノム研究」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120406_1.htm

○京都大学宇治おうばくプラザ 第3回たそがれ花見コンサート
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120406_2.htm

○レクチャーシリーズno.100 ジュニアレクチャー「二枚貝の世界」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120407_1.htm

○第2回京都大学白眉プロジェクト年次報告会 「白眉のコスモロジー2012」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120412_1.htm

○平成24年度 京の府民大学 アフリカ地域研究資料センター公開講座「アフリカ研究最前線:出会う」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120915_1.htm

○工学研究科 創成化学専攻群(材料化学専攻、高分子化学専攻) 入試説明会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120421_2.htm

○アフリカ地域研究資料センター共催 日本ナイル・エチオピア学会創立20周年記念大会
第21回学術大会 公開シンポジウム「エチオピアのコーヒーをたのしむ」
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120421_1.htm

○2012年親子理科実験教室(春コース)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120610_1.htm

○京都大学公開講座春秋講義
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h8/d2/news4/2011/120523_1.htm

○農学研究科大学院入試説明会
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news4/2011/120428_1.htm

>>その他のイベント情報はこちらをご覧ください。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja?type=monthly&;c2=1


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