理事ノート(2004年4月23日)1

理事ノート(2004年4月23日)1

本間 政雄

総長特別顧問・平井紀夫氏による幹部職員研修会を聞いて

挨拶する本間理事

4月22日(木)午前10時半から、法人化に伴って新たに人事、事務合理化などについて助言をいただくために、総長特別顧問として京都大学に招聘 したオムロン(株)元副社長の平井紀夫氏から「企業変革の背景と現状」というテーマで1時間半にわたって学内係長以上を対象に講演をしていただいた。500人入る会場の時計台大ホールが狭く感じられるほど多くの職員の参加があった。
講演の詳細は、当日配布されたレジュメを参照していただくとして、ここでは氏の講演から印象に残ったことを思いつくまま列記してみたい。

第一に、トップ・マネジメントと社員が同じように企業の存続と将来に強い危機感を抱いており、このことがオムロンが1990年代以降不断に断行してきた企業経営改革を支えてきたことである。この「危機感」こそ京大の教職員に最も欠けているものではないだろうか?危機感のないところに改善を図ろうとか、改革をしようという機運が生まれてこないのは当然である。京大といえども、教育・研究・医療活動が所期の成果を挙げ、大学の活動に投入された税金や学生納付金、補助金が効率的かつ効果的に使われたことを説明し、効率化係数、病院にかかる経営改善係数に対応した効率化を図っていかなければ社会や納税者、学生の理解と支持を得られなくなり、ついには衰退の道をたどることになることを教職員はきちんと理解しなければならない。

講演する平井特別顧問

第二に、改革を進めるにあたって、トップ・マネジメントといわゆる「ステイクホルダー」(利害関係者)が不断の対話を行ってきたことである。とりわけ従業員との対話、社会との対話という点が強調された。どのような改革も、その意図と想定される効果について関係者がきちんと理解しなければ実現はおぼつかない。とりわけ事務組織改革、人事制度改革については、職員への説明責任を果たし、大方の理解を取り付けた上で実現に向って努力して生きたいと思う。

第三に、現場への権限の委譲を進め、本社機能のスリム化を図ったということである。この点に関しても、今後大きな課題であると思う。本社=事務本部の機能を整理し、大学全体の戦略策定と人事・財務などの資源マネジメント及び教育・研究についての調整機能に特化し、具体的な事務の執行権限はできる限り現場に委譲していく必要があると思う。

講演に聞き入る参加者

第四に、人事管理を「年功と能力」から「実力と能力」に基づくものに転換し、賃金体系もそれに合わせて変えたことである。この点、京都大学の事務組織はきわめて問題が大きいと思う。能力や業績評価の判定基準が曖昧であるし、本人の職務上の希望などはほとんど考慮されず、画一的、機械的な人事が年功的に行われてきたとの印象が強い。特別昇給もよほどのことがない限り、年功で順番で配分されてきたのではないか?これではがんばっている職員、新しい課題に挑戦して実績を挙げた職員のやる気をそぎ、無力感を生み出す結果になると思う。

第五に、能力開発は「社員の自己責任」という考え方を原則としたことである。この原則に基づいて、能力形成期、能力発揮期、能力活用期、キャリア活用期ごとにOJT、社内研修制度、自己啓発支援制度を組み合わせているという。採用から退職に至る全プロセスを通じて会社の側、働く社員の側双方からの意向、希望をマッチさせようという意欲的な能力開発制度であると思う。京大でも、採用時のキャリア希望聴取、本人と上司との定期的面談制度の導入、資格取得に対する奨励金支給、国内外の大学院への派遣など今後早急に検討を行い、実現を目指したいと思う。

いずれにしても有意義かつ啓発される内容の研修会であった。