留学計画はすぐに答えが出ることばかりではなく、わからなかったり迷ったりすることもあるでしょう。しかし、留学準備期間から、自分の選択肢を把握し、優先順位をつけて決断する練習を積んでおくと、留学先でもとても役立ちます。また、留学前から目的意識を持ち、準備を厭わず、自分なりの努力をしておくと、留学先で苦境に立った時にも自分にとって何が大切かを見極めて行動できます。留学の基盤になる最初のステップをきちんと踏んでおきましょう。

1. 動機・目的

「自分が何を勉強したいのか」「将来の目標は何か」「日本ではなく海外で学ぶメリット・デメリットは何か」などを検討しましょう。留学が自分の将来の目標達成に最も適切な選択かを考えてください。

2. 国・地域・治安

留学の目的が決まったら、通常はその分野における学問的水準が高い国、その国でなければ学べないような専門分野がある国などを選ぶことになるでしょう。その際、その国の治安状況を考慮することも重要です。

3. 教育機関

語学力を伸ばしたいのか、専門的な技術や知識を学びたいのか、国際的に認められる学位や資格を取得したいのかなど、目的に応じて教育機関を選択します。

4. 留学時期

自分が何をどのように学びたいのか、どのような学位等を取得したいのかにより、留学時期が変わってきます。国によっては、教育制度や留学生の受入れ状況の違いから、編入学がスムーズにできない場合もあるので、注意が必要です。

5. 学力・語学力

留学先の教育機関の種類が決まったら、まずは必要な語学試験を一度受験して、あなたの現在の語学力を見極めましょう。基準点に達していない場合は、目標スコアが得られるまで何度でも受験する覚悟が必要です。現地語で授業を受けるには、講義を理解し、授業の討論に参加し、テキストを読み、レポートや論文を作成できるだけの、一定の学力と語学力が必要だからです。京都大学の外国人教員の方の意見によると、留学に際し、当該外国語の実質学習時間は最低400~500時間必要とのことです。

6. 費用

留学資金の計算にあたっては、応募予定の奨学金や留学先でのアルバイト収入は見込まずに、確実な資金に基づいて計画を立ててください。留学生のアルバイトを制限・禁止する国は多い上に、あなたが現地語で勉強し、大量の文献を読み、レポート提出などをすることを考えても、アルバイトをする時間はないと考えた方がよいでしょう。

費用は留学先、留学期間、住居などにより異なるので、大体の条件を決めて計算してみましょう。日本での出費には、日本で加入しておく海外旅行保険、渡航費、ビザ・旅券申請費、語学試験受験料などがあり、渡航先での費用には一時宿泊費、授業料(交換留学の場合は不徴収)、教科書・文具費、住居・食費、現地医療保険、交通費、雑費などがあります。

7. 準備期間

語学試験の受験、資料請求、留学先の情報収集、費用の準備等、留学には準備がかかります。大学・大学院は1年半以上、語学学校は半年以上必要です。十分な準備期間を確保し、出発時期も余裕を持って決めましょう。

8. 保護者や指導教員の同意

特に未成年の学生は、留学をすることに対して、保護者の同意が必要です。また帰国後の進路に関しても、留学前に指導教員と十分な相談をしてから出発しましょう。

9. 日本にいる間にできること

海外留学経験者についての調査結果では、語学力が高いほど留学先での異文化適応が早く、その成果も大きいという報告があります。ここからも、事前に語学の勉強をしっかりしてから留学することの大切さがわかります。

海外留学では特に、自らが人に話しかけ、出会い、知り合う機会を作らないと、ネットワークはいつまでたっても広がりません。対象を留学生に絞らず、日頃よく見かける気が合いそうだけれども話したことがない人に対しても、この姿勢を今から養ってみましょう。

また、留学生が「民間大使」に例えられるように、留学先の人々はあなたを通して日本を知ることになります。外国語で日本の社会情勢、文化、生活習慣、料理などを紹介している書籍等を活用し、留学先で簡単に説明したり実演したりできるように準備しておくと、自己アピールのきっかけにもなります。言葉が少々不自由でも、一緒に物を作ったり、スポーツをしたりすることがきっかけとなって、コミュニケーションがスムーズになることがよくあります。