受講講義:Ecology of Japanese Satoyama

(1)講義内容・進め方・負担などについての感想

 毎週の講義は基本的に、里山や生態系に関する2つの参考文献をベースに、輪番のディスカッションリーダーによる進行で学生同士が議論するという形で進められた。学期序盤は里山の定義や機能について生態学的な機能を中心に扱った。中盤以降は里山の概念に対する批判を扱ったほか、伝統的な文化・知識などについても取り上げた。漠然とした「里山」の概念を「生態学」の領域と捉えていた筆者は、人文的な要素との結びつきに知的好奇心を強く刺激された。

 4月下旬にはフィールドトリップとして、同志社大経済学部の岸基史ゼミが里山の再生に取り組む「里山きゃんぱす」(奈良県生駒市)を訪れた。また、担当教員が5月から6月にかけて藤戸ひろ子氏(アイヌ民族文化財団)らを、また6月に新保奈緒美氏(兵庫県立大)を1回講師として招き、それぞれアイヌ民族の文化についての講演、都市における里山に関する講義および都市農園の視察を行った。特に独特のコミュニケーションと自然観を基盤とするアイヌ文化については知らないことが多く、アイヌにルーツを持つ方との交流は印象深かった。学生による議論や当事者との交流など、全体として講義に「参加」している印象が強く、単純な知識の習得にとどまらない学修機会であったと感じた。

 予習課題として、翌週の授業で扱う文献について、疑問点と議論点をオンラインツールで受講者全体に共有することが求められた。通常の授業と並行して十数ページにおよぶ英語文献を週に2つ読む負担は小さくなかったが、文献を読み込むことで教室での議論に必要な語彙や知識を頭に入れることができ、講義への積極的な参加の助けとなった。共有された疑問点・議論点を講義の前に読むことができるため、文献の論点に対する各受講生の立場が分かりやすく、難解な内容でもスムーズに議論が進行した。

 学期末には講義内外で取り上げた「里山」についての事象についてPodcastを作成した。筆者は「里山きゃんぱす」を運営する岸基史氏に聴き取りを行った。「里山」の保全等に係る現状や課題などについて、筆者の専門である経済学の観点を含めて話を聞くことができた。講義内容と専攻分野を補完するものになったと感じている。

(2)KCJSもしくはSJC学生との交流についての感想

 スタンフォード生には議論の時はもちろん日常的な会話の中でも経済格差や政治・環境などについておのおのが持つ問題意識や立場を話す人が多く新鮮に感じた。また、副専攻の存在などアメリカの学修制度に触れることができた。スタンフォードらしくコンピュータ専攻の学生が多いこと、絵や音楽など、創造的な活動をする学生が多いことが印象的だった。

 議論を通じてアメリカ合衆国の状況に触れることができた点が興味深かった。テーマが「里山」であったことから、合衆国での事例として「有機農業」や「ファーマーズマーケット」といった話題が頻繁に登場し、アメリカでは環境意識が消費行動と結びついていることを実感した。一方でそうした消費行動が高所得者に偏ることを問題と捉える学生も多かった。伝統的な文化・知識について扱った回では、スタンフォード生の議論から、アメリカ合衆国では異なる背景をもつ人々が同一国家内に共存することが日本以上に意識されていることを実感した。

 ディスカッションリーダーを担当した際はスタンフォードの学生とスライドや原稿作成などを共同で行い、互いの経験に基づいて自然観など文化的なについて議論することもあった。また日本語の文字システムや方言、文化や習慣などについて留学生と話す機会もあった。筆者はこれまで海外出身者との交流を持つ機会がほとんどなかったこともあり、筆者が内面化している「日本的」な枠組みや視点が、多様な背景を持つ留学生との雑談を通して相対化されて新鮮であった。

 SJC講義の受講を通して、本制度は、ほとんど費用がかからないにも関わらず、海外留学に近い環境に身を置くことができて良い制度だと感じた(経B2)

受講講義:Ecology of Japanese Satoyama

(1)講義内容・進め方・負担などについての感想

  授業は、毎回3時間あり、全体で18人ほどのクラスで行った。基本的に、事前に読んできた論文をもとに担当の人が20分ほどのプレゼンをした後、ディスカッションを行う形式で、これを1回の授業で2回行った。毎週10~20ページほどある論文(1番多い時は40ページあった)を2つ読み、それぞれ興味をもったことと分かりにくかったこと、さらに論文の内容を踏まえたディスカッションクエスチョンを書いて提出するという予習があった。毎回この予習にだいたい5時間ほどかかっていた授業外の時間的な負担は他の授業に比べると大きかったが、論文はどれも興味深い内容のものばかりで、さらに一言一句訳して読むのではなく、概要をおさえながら読んでいくことがほとんどであったため、精神的にはそこまで苦に感じることはなかった。また1回は、事前に読んだ論文について20分程でまとめプレゼンテーションをする担当になる。これはスタンフォード生と2人で行うものであり、Google slidesで共有しながら作った。私が担当になった論文は、少し難しいもので理解しきれない部分があったが、スタンフォード生の助けもあり、理解を深めながらまとめることができた。

 5月後半の授業では、外部からアイヌの方や里山に関する研究をしている方をゲストとして招き、お話を伺った。日本で生まれ育った私でもアイヌの人から話を聴く機会は初めてであったが、様々な地域の出身の人が集まったスタンフォード生と一緒に、民族と自然の関わりについて考えられたことは、ただお話を聞く以上に得られるものが多く印象に残っている。また、授業のほかにも、4月には実際に里山を訪れるフィールドトリップがあった。竹を割って食器を作り、とってきた野草を天ぷらや味噌汁にして食べたり、森の中を歩いたりした。

 この授業の最終課題は、2人組でポッドキャストを制作するというものだった。里山に関係するテーマで同じような話題を選択した人とペアになり、その話題について授業で学んだことや自分達が考えたことを含めながら、5分ほどのポッドキャストを制作した。このような形の課題は初めてでどうなることかと思ったが、やってみると想像以上に面白い課題だったと思っている。

(2)KCJSもしくはSJC学生との交流についての感想

 スタンフォード生と過ごす中で一番印象的だったことは、皆自分の中に芯を持っていて、多彩であることだ。スタンフォード生はみんな絵が上手いのか…と思ってしまうぐらい絵が上手だったり、他にも音楽やモデルなどさまざまな団体で活動していたり、話を聞けば聞くほど興味深いことばかりであった。授業中の真剣な眼差しからガラリと変わり、彼らと話していると、自然とモチベーションが上がってしまうような感覚だった。

 基本的には週に1回の授業の際に会うことが多かったが、課題や発表資料を作る際には、授業外でも会うことがあった。はじめの頃から近くに座ったスタンフォード生と話していたが、4月のフィールドトリップを境に一気に距離が縮まったと感じている。丸一日一緒に過ごしたことでクラスの全員と話すことができ、さらに同じ趣味の話や、日本やアメリカのことについてなど色々と話すことができ、とても楽しかった。自分のスピーキングに対して、「すごく上手だよ」と言ってもらえ、今までやってきたことが力としてついているのだと、嬉しかった。

 これ以降の授業では、ディスカッションはもちろん、授業の前後などに最近の出来事を共有して話したり、一緒にコンビニに行ったり、毎週会うのがより楽しみになった。私自身、話していくうちによりスムーズに会話ができるようになったと感じている。時にうまい言い回しが出てこず、周りくどい言い方になることもあったが、彼らが「もしかしてこういうこと?」とまとめてくれ、その中で新しい表現方法をたくさん知ることができたので、黙り込まずに話してみることが大切だと感じた。スタンフォード生も日本語を学んでいることもあり、お互い多少の間違いをそこまで気にすることなく話していて、失敗を怖がらずに英語力を伸ばせたように思う。

 中には、日本の学生との交流プログラムを運営する団体に入っているスタンフォード生もいて、次はそのプログラムに参加してスタンフォードで会おう!と約束してしまうぐらい、今後の自分の目標にまで刺激を与えてくれる最高な人達ばかりだった。

 SJC講義受講を通して、新しい出会いができたくさんの文化を学べたことはもちろん、今回きりの関係ではなく、今後も続く関係を作れたことが本当に良かった。この制度のことは入学前は知らなかったのだが、京大に来たからこそできる体験だと感じた。(農B2)

受講講義:Contemporary Religion in Japan’s Ancient Capital

(1)講義内容・進め方・負担などについての感想

 私が履修した講義は、日本の宗教(仏教、神道)について学ぶという内容でした。講義は、ネイティブの先生がスライドを用いて論じる形式で行われ、すべて英語です。授業内ではほぼ毎回、短いディスカッションの場面が設けられており、英語で話すことが求められます。それほど専門的な内容は扱われず、日本における宗教的な事物の具体例を参考にしながら考えを深めていくようなスタイルがメインでした。また、予習としてテキストを読んだり動画を視聴したりすることが求められる場合もしばしばあります。

 講義と同等に重要なものとして、フィールドトリップがあります。私は、伊勢神宮、知恩院、伏見稲荷、赤山禅院などを訪れました。中には初めて訪れる場所もあったので、英語を学習しながら新たな経験をすることもでき、非常に充実していました。フィールドトリップのあとには、その内容を振り返るオンライン課題が課されます。

 SJC学生と共に英語で学ぶということもあり、講義内容を理解するのには苦労しました。しかし、日本人学生には比較的理解しやすいトピックであること、現地学生が非常に寛容であること、スライドなどの資料を参照していれば100%リスニングができていなくてもおおよその内容は理解できることなどを考えると、私のように英語があまり得意でない日本人学生でも十分キャッチアップしていける講義であると感じました。課題や予習の量によっては、少し負担が多いと感じることがありますが、自らを英語のイマ―ジョンの環境に置く手段として、非常に有効です。受講する際には、他の講義の履修単位数を通常よりも少なめにして余裕をつくっておくといいかもしれません。

(2)SJC学生との交流についての感想

 SJC学生は、受講前に私が想像していたよりもずっとフランクで、日本での滞在を気軽に楽しんでいるという印象でした。日本人学生にも非常に興味を持って話しかけてくれます。講義中は前向きな姿勢で取り組み、積極的に発言する様子が印象的でしたが、講義後は一緒にカフェに行って課題に取り組むなど、親しい距離感でリラックスして交流する場面が多く、日本人の友達と同じように楽しく時間を過ごすことができました。

 また機会があれば、本制度を通じて、SJC講義をぜひ履修させていただきたいと思います。(文B3)