研究者情報
研究者名
淺井 智子
研究者名
Kenji Sato
概要
京都大学大学院農学研究科の淺井智子助教(研究当時:奈良女子大学助教)、京都大学の佐藤健司名誉教授(研究当時:農学研究科教授)、奈良女子大学の萬成誉世助教(研究当時)、大分大学の望月聡教授(研究当時)、奈良県立医科大学の西真弓教授(研究当時)らの研究グループは、高温加熱がタンパク質の消化・吸収性と生体に及ぼす影響を調べました。分離大豆タンパク質を10%懸濁液とし、レトルト食品加工を模した条件(121℃、20分)でオートクレーブ処理したところ、タンパク質の一部に化学的な変化が生じ、消化されにくいタンパク質やペプチドが増加しました。加熱した大豆タンパク質をマウスに投与すると、摂取60分後の血中遊離アミノ酸量が未加熱群より約25%低下しました。6週間継続して与えたマウスでは、社会的新奇性行動の変化と、末梢血中セロトニン濃度の低下が認められました。本研究は、高温加熱がタンパク質の体内での利用されやすさや生体応答に影響しうることを示しています。今後は、加熱で生じる変化の原因物質を特定するとともに、缶詰やレトルト食品など実際の食品中でも同様の変化が生じているのかを明らかにし、栄養性やヒトへの影響を検証します。本研究成果は、2026年9月3日に国際学術誌「npj Science of Food」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「私自身もレトルト食品を利用し、子どもと一緒においしくレトルトカレーを食べています。だからこそ、食品の安全性や利便性を保ちながら、加熱による栄養成分の変化をできるだけ抑える方法を考えたいと思っています。今後は、実際の食品のようにさまざまな成分が共存する条件で何が起こるのかを明らかにし、加熱による変質を防ぐ加工条件の確立につなげたいです。」(淺井智子)