皮膚常在真菌マラセチアの新たな病原メカニズムを発見―乳酸菌が腸管バリア障害を軽減する可能性―

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概要

 大阪公立大学大学院生活科学研究科 岸田千穂 修士課程学生(研究当時)、京都大学医生物学研究所 谷本佳彦 助教、中臺(鹿毛)枝里子 教授らの研究グループは、皮膚常在真菌として知られるマラセチア・フルフル(Malassezia furfur)について、代替モデル宿主として線虫(Caenorhabditis elegans)を用いた解析を行い、その病原性の一端を明らかにしました。

 その結果、マラセチア・フルフルは線虫の寿命を短縮させるだけでなく、腸管バリア機能を障害することが判明しました。また、遺伝子解析の結果、生物が病原体から身を守るために持つ「自然免疫」の働きに関わるNSY-1/SEK-1経路が、マラセチアに対する防御に重要な役割を果たしていることが分かりました。さらに、乳酸菌の一種であるLacticaseibacillus rhamnosusを与えることで、マラセチアによる寿命短縮や腸管バリア障害が部分的に軽減されることを発見しました。

 本研究は、マラセチアと宿主との相互作用の理解を深めるとともに、乳酸菌を利用した新たな予防・治療戦略の開発につながる成果として期待されます。

 本研究成果は、2026年9月8日に英国の国際学術誌「FEMS Microbes」にオンライン掲載されました。

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本研究の概略図:皮膚常在真菌であるマラセチア・フルフルを摂取した線虫では、寿命の短縮や腸管バリア機能の低下が認められました。一方、乳酸菌Lacticaseibacillus rhamnosusを同時に与えることで、マラセチアによる悪影響が軽減され、腸管バリア機能が保たれることが分かりました。また、線虫がもつ防御システム(NSY-1/SEK-1経路)が、マラセチアに対する生体防御に重要な役割を果たすことも明らかになりました。(作成者:岸田千穂、谷本佳彦)

研究者のコメント

「マラセチアは多くの人の皮膚に存在する身近な真菌ですが、その病原性の実態には未解明な部分が数多く残されています。本研究では、線虫というシンプルなモデル生物を用いることで、マラセチアが宿主の腸管バリア機能を障害する可能性を明らかにできました。また、乳酸菌による保護効果も見出すことができ、非常に興味深い結果だと考えています。今後は、マラセチアと宿主、さらには有用微生物との相互作用をさらに詳しく解析し、健康維持や疾患予防に役立つ知見へと発展させたいと考えています。」(谷本佳彦)

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