研究者情報
概要
近藤亜樹 医学研究科博士課程学生(研究当時)、池田香織 同講師、稲垣暢也 名誉教授、矢部大介 医学研究科教授らの研究グループは、1型糖尿病のある方を対象に、日常生活中のインスリン投与量と自律神経活性バランスが関連することを明らかにしました。インスリンが交感神経を活性化することは、実験的な環境で行われた研究では示されていましたが、日常生活下では十分にわかっていませんでした。本研究では、ウェアラブル心電計で記録した心拍間隔の変化(心拍変動)から交感神経と副交感神経の活動のバランスを評価し、一日に数回投与されるインスリンのタイミングや量との関係を解析しました。その結果、1日の最後の追加インスリン(短時間作用するインスリン)量は夜の就寝後の交感神経優位の程度と関連しており、基礎インスリン(長時間作用するインスリン)量は朝の起床前の交感神経優位の程度と関連していました。この関連は、HbA1cや持続血糖測定で得られた血糖状態の影響を調整した後も見られました。交感神経優位は心血管リスクと関連することが指摘されており、本研究成果は、インスリン治療と心血管リスクとの関係を考える上で新たな視点を追加するものです。本研究成果は、9月14日午前10時(米国東部時間)に米国の国際学術誌「Diabetes」にオンライン掲載されました。
作成者:近藤亜樹(イラスト素材の一部にOpenAI ChatGPT[GPT-5.6 Sol]を使用)
研究者のコメント
「本研究の成果は、近年著しく進歩するウェアラブル機器を活用し、1型糖尿病のある方のご協力のもと詳細な日常生活データを記録・収集できたことで初めて得られました。今後、こうした機器を活用した研究により、さらに多くの病態が解明されることが期待されます。なお、現時点では、観察された交感神経優位が何らかの症状や合併症の重症度に関わるような程度のものか、わかっていません。インスリン投与量を減らすことで交感神経優位が抑制されるかどうかもわかりません。本研究結果をもとに自己判断でインスリン投与量を減らすことは、高血糖を引き起こす危険があります。インスリン治療を必要とする方が安心して適切な治療を続けられるよう、今後もさらなる研究を進めてまいります。」(池田香織)