電気と酵素の力で補酵素NADを再生―新規DET型酵素による高速化と省エネルギーの実現―

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 紀之定玲司 農学研究科修士課程学生、武部幸佳 同修士課程学生(研究当時)、足立大宜 同特定研究員、宋和慶盛 同助教、北隅優希 同准教授、白井理 同教授、株式会社村田製作所の生出伸一博士(研究当時)らの共同研究グループは、Methylorubrum extorquens AM1というメタノール資化性細菌由来ギ酸脱水素酵素のβサブユニット単独発現体(FoDH1B)を用いたニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)再生系を構築しました。

 NADは生物の異化代謝において必須の補酵素であり、NAD依存性酵素を用いた物質生産にも利用されています。本物質生産において、酸化型NAD(=NAD+)を還元型NAD(=NADH)に再生する技術が重要であり、特に、「直接電子移動型酵素電極反応(DET型反応)」による犠牲基質なしの高効率なNADH再生系の実現が期待されています。本研究では、高効率な異種発現系である大腸菌発現系によって取得したFoDH1Bを用い、NAD+/NADH変換に伴う明瞭なDET型反応を確認しました。また、優れたDET型活性を活用することで、高性能なフロー型NADH再生系の構築に成功しました。

 本研究成果は、2026年4月30日に、国際学術誌「Bioelectrochemistry」にオンライン掲載されました。

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作成:京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻 生体機能化学研究室

研究者のコメント

「NADはあらゆる生命の異化代謝に関わる重要補酵素です。今回、卓越したDET型活性を持つFoDH1Bを大腸菌発現系で創出することに成功し、電気エネルギーによって、高速かつ高選択的にNAD+をNADHに変換できました。また、本反応系はNADHをNAD+に変換することも可能であり、NADの酸化還元状態を自由自在に制御できます。本技術をプラットフォームとして活用することで、バイオリアクタだけでなく、バイオセンサやバイオ電池への応用も視野に入れています。今後、生体内の代謝を模倣したバイオミメティクスの社会実装に向けて、学術研究に挑戦し続けていきます。」(宋和慶盛)