研究者情報
研究者名
渋谷 倫太郎
研究者名
椛島 健治
概要
渋谷倫太郎 医学研究科助教、椛島健治 同教授、Brian S. Kim マウントサイナイ医科大学(Icahn School of Medicine at Mount Sinai)教授らの研究グループは、耳介皮膚に分布する迷走神経の感覚入力が、肺のアレルギー性炎症を抑える神経免疫機構に関与することをマウスで明らかにしました。
迷走神経は内臓の状態を脳に伝え、内臓機能や炎症を調節する神経として知られています。一方で、迷走神経は、例外的に耳介の皮膚にも枝を伸ばしていますが、その生理的役割は十分に分かっていませんでした。本研究では、神経トレーシング、薬理学的操作、化学遺伝学、光遺伝学を組み合わせ、迷走神経に含まれるTRPV1陽性感覚神経を耳介皮膚から刺激すると、肺の2型炎症に関わる免疫細胞やサイトカインが低下することを示しました。この抑制効果には、神経ペプチドであるCGRPβが必要でした。本成果は、皮膚からの外界刺激が内臓の免疫応答に影響する仕組みを示すもので、経皮的神経刺激が免疫応答に及ぼす影響を理解する基礎的知見となることが期待されます。
本研究成果は、2026年7月15日に、国際学術誌「Immunity」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「本研究は、皮膚に入る外界からの刺激が、離れた内臓の炎症にどう影響するのかという素朴な疑問から始まりました。そこで、迷走神経耳介枝という生理的役割がよく分かっていない神経に着目し、マウスでの検証を開始しました。耳介皮膚と肺をつなぐ神経免疫の仕組みを示せたことは大きな一歩ですが、ヒトの病気に応用するには慎重な検証が必要です。今後も基礎研究を通じて、炎症を制御する新しい考え方を育てていきたいと思います。」(渋谷倫太郎)