梅野健 情報学研究科教授、水野彰 同研究員、高明慧 同技術補佐員らの研究グループは、太陽フレアなどの太陽活動が電離圏に電子数密度の変動(電離圏擾乱)を与えるほど大きい場合、地震発生そのものを促す可能性があることを示す新たな物理モデルを提案しました。
本研究では、地殻内の破砕帯と電離圏が「巨大なコンデンサ」のように電気的に結合していると考え、太陽フレアなどによる電離圏の電子数密度の変動(電離圏擾乱)が、地殻内部に電気的な圧力を生じさせる仕組みを理論的に示しました。この電気的圧力は、地震発生に関与すると考えられている潮汐力や重力と同程度、あるいはそれ以上の大きさに達する可能性があります。
本成果は、地震を「地球内部だけの現象」として捉えてきた従来の枠組みを拡張し、宇宙空間からの影響を含めた新しい地震理解の方向性を示すものです。
本研究成果は、2026年2月3日に、国際学術誌「International Journal of Plasma Environmental Science and Technology」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「常識的には、太陽活動(宇宙)と地震が関係するはずありません。それが常識です。ただあの日の朝、Xクラスの太陽フレアが発生し、夕方に能登半島地震発生したのは、何か未知のリズム(規則性)、いや因果性があると感じ、この常識を取っ払ってみました。すると急に視界が広がり、この関係性を考えるだけでワクワクしてきました。容量結合は双方向性をもつという気づきも重要でしたが、何より宇宙学と地震学の分野の壁をとっぱらったところに、本研究の醍醐味があります。地震は宇宙の事象です。」(梅野健)
「静電力は小さい相手に相対的に強く働くため、集塵装置や遺伝子解析などに使われています。雲仙大火砕流の速さをニュースで知った時、最初から帯電して反発しているかも?と疑問を持ちました。超臨界水は電気を通しにくいためです。地震発生前に地殻内に隙間ができると、間隔が小さいため静電力が強く働くと考え、電離層からの電界による静電力が地震のトリガーになり得るのではないかと考えました。自然現象と静電気の関わりをもっと知りたいと思っています。」(水野彰)
【DOI】
https://doi.org/10.34343/ijpest.2026.20.e01003
【書誌情報】
Akira Mizuno, Minghui Kao, Ken Umeno (2026). Possible mechanism of ionospheric anomalies to trigger earthquakes — Electrostatic coupling between the ionosphere and the crust and the resulting electric forces acting within the crust —. International Journal of Plasma Environmental Science and Technology, 20, 1, e01003.
日刊工業新聞(2026年2月12日 25面)に掲載されました。