齊藤晋 医学部附属病院非常勤医師(研究当時:同准教授)、牧野愛子 医学研究科研究員らの研究グループは、光超音波イメージングを用いて、ケロイドの再発に微小循環の高酸素化が生じることを明らかにしました。
ケロイドは難治性皮膚疾患の一つであり、強いかゆみや痛みを生じます。ステロイド局所注射が標準的治療ですが、再発率は高く、発見が遅くなればケロイドの拡大につながり、患者さんはさらなる注射の苦痛を余儀なくされます。そのため、早期発見が重要ですが、ケロイドがいつ、どこに再発するかは予測が困難でした。本研究グループは、ケロイドと血管異常の関係に着目し、光超音波イメージングを導入しました。光超音波イメージングは光音響効果で血管を描出する体に優しい画像診断技術であり、切除生検のようにケロイドを増悪させるリスクはありません。本研究ではケロイドの血管構造や酸素化の状態を6か月間追跡しました。退縮したケロイドでは表在性微小血管の低酸素化が持続していましたが、再発したケロイドでは再発に先行して高酸素化した微小血管が出現しました。光超音波イメージングは、ケロイドの再発可能性を可視化するツールとして役立つと期待されます。
本研究成果は、2026年4月23日に、国際学術誌「Photoacoustics」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「光超音波イメージングは世界中の科学者が研究・開発を続けており、小型プローブでリアルタイムに2次元観察する装置もありますが、本研究で用いた装置はメイドインジャパンで、3次元観察が可能です。動画をご覧頂ければ、素晴らしい技術革新であることがわかります。問題はこの技術をどう生かすかなのです。非侵襲さは経過観察に有利です。3次元は不均一な病変の異常探知に有利です。この技術がケロイドだけでなく、がんなどの病気に利用できることを祈念しております。」(齊藤晋)