B. Theodore Zhang 基礎物理学研究所特任助教(現:中国科学院准教授)、村瀬孔大 同特任教授(兼:米国ペンシルベニア州立大学(Pennsylvania State University)教授)らの国際研究グループは、観測史上最高級のエネルギーをもつ宇宙線の一部が、鉄より重い「極重」原子核である可能性を理論的に調べました。超高エネルギー宇宙線、特に「アマテラス粒子」のような100エクサ電子ボルトを超える宇宙線事象の起源は長年の謎であり、どのような天体で加速されているのかは分かっていません。本研究では、極重宇宙線原子核が宇宙空間を伝わる際のエネルギー損失過程を詳しく計算し、最高エネルギー領域では、陽子や中間質量原子核よりも長く生き残って地球へ届きやすいことを示しました。また、ピエール・オージェ観測所(Pierre Auger Observatory)とテレスコープアレイ実験の観測データを用いて、観測される超高エネルギー宇宙線に極重原子核がどの程度寄与し得るかを初めて制限しました。その結果、許される超高エネルギー極重原子核の生成量は、中性子星連星合体や大質量星の重力崩壊と矛盾せず、これらの天体爆発現象がアマテラス粒子のような最高エネルギー宇宙線の有力な起源候補となりうることが分かりました。将来の超高エネルギー宇宙線観測や極限天体爆発現象の理論研究により、この仮説が検証されることが期待されます。
本研究成果は、2026年5月7日に、国際学術誌「Physical Review Letters」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「超高エネルギー宇宙線の起源は、宇宙粒子物理学における最大の謎の一つです。本研究は、極重原子核からなる超高エネルギー宇宙線の可能性を理論的に調べたものです。アマテラス粒子の起源を含め、今後の研究の進展に貢献できれば幸いです。」(村瀬孔大)
【DOI】
https://doi.org/10.1103/221m-gvs3
【書誌情報】
B. Theodore Zhang, Kohta Murase, Nick Ekanger, Mukul Bhattacharya, Shunsaku Horiuchi (2026). Ultraheavy Ultrahigh-Energy Cosmic Rays. Physical Review Letters, 136, 18, 181002.