Starlink衛星の軌道情報を元に、衛星が飛翔する高度の大気密度の緯度・経度分布をトモグラフィー解析によって計測しました(世界初の成果)

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研究者情報

概要

 地球周辺の宇宙空間は、数千もの人工衛星や宇宙ゴミ(デブリ)が低軌道を共有するようになり、ますます混雑しています。衛星の軌道予測や衝突回避には、大気密度に関する正確な情報が不可欠です。京都大学生存圏研究所の山本衛(まもる)研究員(非常勤)(同特任教授)は、衛星高度の大気密度を可視化する新しい手法を実証しました。SpaceX社の「Starlink(スターリンク)」衛星の公開軌道データを用いた高度約500kmにおける大気密度の画像化です。本研究成果は7月30日に学術誌『Earth, Planets and Space』に「Express Letter(速報)」として掲載されました。

 本研究では、Starlink衛星群の詳細軌道情報(エフェメリス)が活用されました。高度482kmに存在する約1,200機の衛星が大気抵抗によって受けるわずかなエネルギー損失を計測し、トモグラフィー解析の手法によって、緯度・経度ごとの大気密度の分布を再構築しました。この成果は、2026年4月に発表した関連研究(Starlink衛星のより一般的な軌道情報を用いた、熱圏密度の時間・高度分布の推定)の発展であり、今回の研究では分析を水平方向(緯度・経度方向)に拡張しました。将来的には衛星周辺の大気密度の準リアルタイム監視を可能にし、将来の宇宙活動の安全性・信頼性向上に寄与することが期待されます。

画像
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(左側)大気抵抗を用いて衛星高度(熱圏)の大気密度を計測する原理図。(右側)本研究で推定した高度482kmの大気密度の緯度経度分布(上:実測値)と、経験モデルから予想される大気密度分布(下:比較相手)。

研究者のコメント

「本研究は2024年にStarlink衛星が数千機に達したことを知って始めました。超高層大気の大気密度データは研究的にも決定的に不足しており、本研究はそのギャップを埋める重要な成果です。本研究は超高層大気(地球科学)と衛星軌道力学(宇宙工学)の知識をミックスした点に妙味があります。最新のAI技術を利用することで、二つの遠く離れた研究領域をつなぎ合わせ、効率的なデータ処理を素早く実現できました。」(山本衛)

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