バセドウ病に合併する甲状腺眼症、新規治療で眼の奥はどう変わるのか―MRIで筋肉と脂肪の変化を読み解く―

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概要

 京都大学大学院医学研究科の山内一郎助教、矢部大介教授(糖尿病・内分泌・栄養内科学)、宮田学講師(眼科学)、岸本曜准教授(耳鼻咽喉科・頭頸部外科学)らの研究グループは、甲状腺眼症に対するテプロツムマブの効果をMRIで詳細に解析し、ステロイドパルス療法を中心とした従来治療との違いを明らかにしました。本成果は、2026年8月25日(現地時間)に、米国の国際学術誌「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に早期公開されました。

 甲状腺眼症は、バセドウ病の代表的な合併症で、眼球突出は主要な症状の1つです。従来治療では眼球突出の改善が十分でない患者も多い一方、2024年に本邦で承認されたテプロツムマブは高い改善効果が報告されています。しかし、その違いを検討した研究は限られていました。

 本邦ではMRIを用いた病態評価が推奨されており、当院でも治療前後にMRIを撮影してきました。本研究では、テプロツムマブ治療後には眼を動かす外眼筋と眼窩脂肪の両方が縮小した一方、従来治療では外眼筋は縮小したものの眼窩脂肪が増加しました。眼窩脂肪の変化が、従来治療で眼球突出の改善が小さい一因となる可能性が示されました。また、MRIで炎症を認めた外眼筋は治療後に大きく縮小し、複数の外眼筋に炎症を認める患者では、テプロツムマブによる眼球突出の改善がより大きいことも示されました。

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本研究の概要 京都大学医学部附属病院で行った観察研究。テプロツムマブの治療効果をMRIで詳細に解析し、ステロイドパルス療法を中心とした従来治療と比較しました。(作成者:山内一郎)

研究者のコメント

 「甲状腺眼症というと耳慣れないかもしれませんが、バセドウ病診療における重要な合併症で、見え方や外見の変化を通じて生活の質に大きく影響します。当科はこれまで全国調査を主導するなど、甲状腺眼症の診療・研究に取り組んできました。また、関連診療科との定期的なカンファレンスを通じて、診療の質の向上に努めています。近隣・遠方の医療機関から多くの患者さんをご紹介いただいており、ご期待に応えられるよう、今後もエビデンスを積み重ね、患者さんの病態に応じた、より良い診療につなげてまいります。」(山内一郎)

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1210/clinem/dgag348

【書誌情報】
Ichiro Yamauchi, Daisuke Taura, Yohei Ueda, Taku Sugawa, Manabu Miyata, Akinari Yamamoto, Kenji Suda, Eri Nakano, Yo Kishimoto, Koji Nishimura, Yoshitaka Kawai, Mie Abiko, Aya Sakurai, Sadahito Kimura, Daisuke Kosugi, Kentaro Okamoto, Takuro Hakata, Daisuke Yabe (2026). Teprotumumab Effects on Thyroid Eye Disease in a Japanese MRI Study: Comparison with Intravenous Glucocorticoid Therapy. The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, dgag348.