地震活動評価の指標b値は「時間」よりも「場所」に左右される―「大地震前に低下」の一貫した証拠は見つからず―

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ターゲット
公開日

研究者情報

Aron Mirwald

研究者名

ENESCU Bogdan Dumitru

概要

 地震の規模別頻度分布を表すb値は、小さな地震と大きな地震がどの程度の割合で起こるかを示す指標です。これまで、b値が大地震の前に低下したり、大地震後に上昇したりする可能性が報告されてきましたが、日本の地震カタログを使って統計的に検証したところ、大地震の前にb値が低下し、発生後に上昇するという一貫した証拠は見つかりませんでした。一方、b値が低い地域で大地震が発生しやすいという空間的な相関は確認され、広域的・統計的に見ると、b値の違いは大地震前後の時間変化よりも、発生場所の地質・応力環境を強く反映していることがわかりました。

 本研究は、研究当時、京都大学の短期交流学生であり、スイス・チューリヒ連邦工科大学(ETH Zurich)の博士課程学生であった Aron Mirwald氏を中心に、Leila Mizrahi博士(Swiss Seismological Service, ETH Zurich)、エネスク・ボグダン准教授(京都大学大学院理学研究科)、Stefan Wiemer教授(Swiss Seismological Service, ETH Zurich)により共同で行われました。本研究成果は、2026年7月12日に国際学術誌「Geophysical Research Letters」にオンライン掲載されました。

画像
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日本周辺におけるb値の空間分布と、マグニチュード(M)6以上の大地震の位置。色はb値を示し、青色ほどb値が低く、赤色ほどb値が高いことを表す。本研究の解析では、大地震は相対的にb値の低い領域で発生しやすい傾向が示された。地図に示したb値分布は、解析対象とした各地震系列に含まれる地震を除外したうえで、周辺地域の地震データに基づいて推定したものである。(図提供:Aron Mirwald博士)

研究者のコメント

「本研究の結果は、広い空間スケールで見ると、b値は大地震の前後で系統的に変化するというよりも、大地震が発生する場所の性質を強く反映していることを示しています。地域ごとの地質構造や応力状態が地震の規模別頻度分布を形づくるうえで重要であり、長期的な地震ハザード評価にも役立つ知見になると考えています。」(Bogdan Enescu/エネスク・ボグダン)

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1029/2025GL121450

【書誌情報】
Aron Mirwald, Leila Mizrahi, Bogdan Enescu, Stefan Wiemer (2026). b-Values of Large Earthquake Sequences Depend on Their Mainshock Location. Geophysical Research Letters, 53, 14, e2025GL121450.