研究者情報
概要
ふわりと宙に浮くものといえば、魔法の絨毯や天空の城などの想像の産物が心に浮かぶかもしれません。実は鳥やドローンのように駆動力を使わずとも、本当にふわりと宙に浮くものがあります。たとえば鉛筆の芯に用いられているグラファイト(黒鉛)は、永久磁石上で容易に浮かせられます。外部駆動なしで、どこにも触れずに静かに宙に浮くグラファイト片は、微小な力を検出する高感度センサーへの応用が期待されています。センサーとして機能させるには、グラファイトを磁場中で運動させることになりますが、電気をよく通すグラファイト内に電流が流れて運動にブレーキがかかり、性能が落ちてしまいます。そこでグラファイトを微粒子にして表面に絶縁体を塗り、全体としては絶縁体にする手があります。しかし代償として、グラファイトが持つ「異方性」と呼ばれる性質による高い浮上力が損なわれる問題がありました。
京都大学大学院理学研究科 武田和行 准教授、上出友哉 同博士後期課程学生、田坪歩輝 同修士課程学生と沖縄科学技術大学院大学量子マシンユニット Jason Twamley(ジェイソン トゥワムリー) 教授らの研究チームは、グラファイト粒子の表面に薄いガラス層を作って電気的に絶縁して、かつ、粒子の向きをそろえてから板状に固めたハイブリッド磁気浮上センシング材料を開発しました。この成果は、次世代の高感度な計測技術への応用が期待されます。
研究者のコメント
「グラファイトの小片がたやすく浮上するのを観察するのは純粋に楽しいです。従来の浮上体は振動がすぐにおさまるのに対して、今回作成した磁気配向表面絶縁グラファイト複合材料で作った浮上体は、ちょんと小突くとその後、1時間以上もゆらゆら振動し続けるのは驚きでした。浮上実験中にたまたま起こった地震によって測定がダメになったこともありましたが、逆に『ちゃんと地震の揺れを検出できた!』とポジティブに捉えています。」(上出友哉)
【DOI】
https://doi.org/10.1002/anse.70099
【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/302395
Tomoya Kamide, Ayuto Tatsubo, Jason Twamley, Kazuyuki Takeda (2026). Diamagnetically Levitated Sensing Platforms Made With Surface-Insulated and Magnetically Aligned Graphite Particles. Analysis & Sensing, 6, 4, e70099.