橘悟 地球環境学堂研究員、西川星也 生命科学研究科特定講師らは、スクミリンゴガイ(Pomacea canaliculata)の壁面歩行を大きく抑制する表面形状を明らかにしました。
スクミリンゴガイは、日本では重点対策外来種に指定されており、稲作などの農業に大きな被害をもたらしています。年間3000個以上の卵を産む高い繁殖力をもつため、成貝や卵塊の除去には限界があり、農業被害や生態系への影響、農作業者への健康リスクなども課題となっています。
本研究では、スクミリンゴガイが水面上の壁面へ移動して産卵する性質に着目し、垂直歩行を阻害する表面形状を調査しました。具体的には、3Dプリンターで複数の表面形状サンプルを作製し、サンプルを垂直に設置した水槽内で、落下率や上方への通過率を測定する実験を行いました。その結果、横スリット(高さ5mm、間隔15mm)などの表面形状が上方通過率を大きく低下させ、歩行抑制の効果を示すことができました。本研究で得られた知見は、水路壁面や捕獲トラップへの応用が期待されます。
本研究成果は、2026年5月14日に、国際学術誌「Pest Management Science」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「本研究は、オニバスの棘から、スクミリンゴガイが歩行しにくい形のヒントを得たので、バイオインスピレーション研究の一例といえるでしょう。そして研究を進める中では、スクミリンゴガイの生命力や運動能力の高さに驚かされました。歩行時の力を面圧分布センサーで検証できなかったのが悔しい点です。防除技術として実用化するには課題が残っていますが、日本の農業、特に『お米』を守るための一助となれば幸いです。」(橘悟)
【DOI】
https://doi.org/10.1002/ps.70926
【書誌情報】
Satoru Tachibana, Seiya Nishikawa (2026). Walking inhibition effect of different surfaces in apple snail, Pomacea canaliculata. Pest Management Science.