親からの暴力が非行に影響―中学生に調査、京都大などが分析―

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 SMBC京大スタジオ「貧困・格差・虐待の連鎖を乗り越える教育アプローチの研究開発と普及」プロジェクトでは、基礎研究の一環として「国際自己申告非行調査(ISRD)第4次調査」の日本国内における調査を実施しています。

 このたび、プロジェクトメンバーの岡邊健 教育学研究科教授が、その結果を公表しました。

 近畿地方の公立中学校の生徒1,820名から回答を得た本調査から、27.4%が親から叩かれるなどの暴力を、14.2%が親から強く殴られるなどの深刻な暴力を経験している実態が明らかになりました。分析の結果、親からの暴力を受けた経験がある生徒はない生徒に比べて、過去1年間に非行に関わった経験が、統計的に有意に多いことがわかりました。また、経済的に余裕がない家庭のほうが親からの暴力が発生しやすく、さらに「家庭に経済的余裕がなく、かつ親からの暴力があった」環境で、最も非行が多くなる傾向が確認されました。

 プロジェクトでは今後、SNSの利用実態などについても分析を進める方針です。

 本研究成果は、2026年3月15日に、青少年問題学会第4回大会(オンライン)で発表されました。

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研究の概要

研究者のコメント

「親からこどもへの暴力が、しつけを名目に行われることは多い。本調査では、暴力を受けているこどもが、これまでに考えられてきたよりもかなり広範囲に及んでいる可能性があることを示している。

日本は、国際的にみれば少年非行が少ない国である。今回の調査でも、非行経験をもつ中学生はそれほど多いとはいえないことが確かめられた。ただし、親からの暴力があったかなかったかで、非行経験が明確に異なることがわかった。

今回の知見は、家庭の厳しい環境が中学生個人の非行行動に関連している可能性があることを示している。非行への社会的なまなざしは厳しく、『非行を行ったこどもへは厳しく対処すべきだ』という声も根強くあるが、非行を個人の問題で片付けてしまことは不適切ではないか。非行を、こどもが成育する社会全体の問題として把握していくことが求められる。」(岡邊健)

研究者情報