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井上康博 工学研究科教授、望月敦史 医生物学研究所教授、王子寧 東京大学博士課程学生、塚谷裕一 同教授らによる研究グループは、葉の鋭い尾状先端(sharply elongated apex)がどのように形成されるのかという未解明の課題に挑みました。中国原産の落葉高木ナンキンハゼ(Triadica sebifera)をモデル植物として用い、葉の発生過程を顕微鏡観察および数値シミュレーションを駆使して解析しました。
この研究により、葉の先端部分では細胞分裂の方向が主に縦方向に偏り、葉の基部では分裂方向がランダムになるという、「二領域性細胞分裂角度パターン」が葉の鋭い先端の形成に直接的に関与していることが世界で初めて実証されました。さらに、こうした細胞レベルでの分裂角度の制御が、葉の多様な形態に重要な役割を果たしている可能性が示唆されました。
本成果は、植物の葉形態形成の新たな原理の解明につながるとともに、今後は農作物や観賞植物の形態設計、さらには植物発生学や進化生物学への応用展開も期待されます。
本研究成果は、2025年7月5日に、国際学術誌「The Plant Journal」にオンライン掲載されました。

詳しい研究内容について
研究者情報
研究者名
井上 康博
研究者名
望月 敦史