食べ物の色が作られる歴史的プロセスの解明 -人工と自然の境界で作られる五感の歴史-

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久野愛 経済学研究科講師は 、1870年代から1970年代の米国に焦点を当て、人々が「自然」だと思う食品の色(例えば赤いトマトや黄色いバナナ)がいかに歴史的に構築されてきたのか明らかにしました。

「目で食べる」という言葉があるように、私たちがある食べ物を「美味しそう」「新鮮そう」と感じる際、視覚は大きな役割を果たしています。ただ、野菜や果物を含め多くの食品は、その見た目、特に色は人工的に創り出されたものでもあります。

本研究では、食品企業の生産・マーケティング戦略や政府の食品規制、「自然な」色の再現を可能とする技術的発展、消費者の文化的価値観(特に自然観)の変化に注目し、「自然」と「人工」という概念の境界が流動的であること、さらに味覚や視覚といった五感の歴史性や社会性について分析しています。

本研究は、2019年11月19日に、「Visualizing Taste:How Business Change the Look of What You Eat」として出版されました。

図:バターの着色料の広告、1916年(「バターを売るには味と色が重要」という見出しをつけて色の重要性を強調)

詳しい研究内容について

書誌情報

【関連URL】 https://www.hup.harvard.edu/catalog.php?isbn=9780674983892

Ai Hisano (2019). Visualizing Taste: How Business Changed the Look of What You Eat. Harvard University Press.

  • 京都新聞(4月22日夕刊 3面)に掲載されました。