スーパーフレアが太陽でも数千年に一度発生しうることを解明 -分光観測とガイア衛星による観測データを詳細に検証-

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野津湧太 理学研究科博士課程学生(現・コロラド大学・日本学術振興会海外特別研究員)、柴田一成 同教授らの研究グループは、国立天文台、兵庫県立大学、ワシントン大学などと共同で、米国アパッチポイント天文台3.5m望遠鏡等を用いた高分散分光観測のデータと、ガイア(Gaia)衛星によって得られた星の距離と半径データを最大限活用し、詳細な検証を行いました。その結果、年を取り自転の遅くなった太陽のような星でも、最大級の太陽フレアの100倍に達するスーパーフレアが数千年に1回の頻度で生じうることが、より確かに示されました。

太陽の表面では、フレアという爆発現象が頻発しており、磁気嵐などの形で、地球や社会にも大きな影響が及ぶこともあります。

2012年、本学の研究グループは、ケプラー宇宙望遠鏡の取得した多数の恒星の観測データの解析により、スーパーフレアが太陽でも発生する可能性を発表しました。この結果は地球への影響の検討なども含め、世界的に大きなインパクトをもたらしてきましたが、ケプラー宇宙望遠鏡による星の明るさ変化のデータだけでは、発見されたスーパーフレア星が本当に太陽のように自転の遅い単独星なのか、連星や準巨星など太陽と異なる性質の星が混入している可能性はないのか、という根本的な点において疑問が残っていました。

本研究成果は、太陽型星におけるスーパーフレアおよび太陽でのスーパーフレア発生可能性の理解の進展に大きく寄与しました。また、太陽および恒星物理学だけでなく、惑星大気組成への影響などの観点も含めて関連分野の進展に寄与することが期待されます。

本研究成果は、2019年5月1日に、国際学術誌「The Astrophysical Journal」のオンライン版に掲載されました。

図:惑星を襲うスーパーフレアの想像図(Credit:NASA, ESA and D. Player)

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.3847/1538-4357/ab14e6

Yuta Notsu, Hiroyuki Maehara, Satoshi Honda, Suzanne L. Hawley, James R. A. Davenport, Kosuke Namekata, Shota Notsu, Kai Ikuta, Daisaku Nogami, and Kazunari Shibata (2019). Do Kepler Superflare Stars Really Include Slowly Rotating Sun-like Stars?—Results Using APO 3.5 m Telescope Spectroscopic Observations and Gaia-DR2 Data. The Astrophysical Journal, 876(1):58.