経済学研究科 教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

経済学研究科修士課程・博士後期課程

 京都大学大学院経済学研究科では、ディプロマ・ポリシーに掲げる目標を達成するために、学問の過度な専門化に陥ることなく、幅広い視野から自己の研究を位置づけて知の体系を構築できるよう、多様で高度な専門能力をもつ教員を擁し、経済哲学から理論、歴史、政策、応用経済学、経営・会計学などの諸分野にわたる幅広い教育をおこなうために、専門教育科目を体系的に編成し、講義、演習等を適切に組み合わせた授業科目を開講する。教育課程については、コースツリーやナンバリングを用いてその体系性や構造を明示する。

  1. 修士課程高度専門人材養成プログラムでは、授業履修と修士論文研究により、経済学と関連の諸領域および実証・データ分析における基盤的・先端的な専門知識を修得し、またグループワークや英語を含むコミュニケーションに関する能力を高め、国内外の経済社会の課題・問題を実践的に分析、解決できる能力を修得することを目標とします。修士論文研究は、複数の担当教員による集団研究指導(高度専門人材養成プログラム修士論文ワークショップ)を受けながらおこないます。
  2. 修士課程研究者養成プログラムでは、授業履修と修士論文研究により、経済理論、社会経済学、応用経済学、経済史・思想史学、経済政策、経営・会計学など、経済学と関連の諸領域における蓄積を継承し、研究に必須の基礎学力および分析能力を修得することを目標とします。修士論文研究は、入学後決定する指導教員による個別指導を受けながらおこないます。
  3. 博士後期課程では、経済学の先端的課題や社会経済の諸問題に取り組み、社会の期待に応えられる研究者を養成します。そのため、指導教員を中心に研究指導をおこない、その研究成果をもとに研究指導を受けたことの認定をおこないます。博士後期課程では、研究成果を集大成した課程博士学位請求論文の作成と学位取得が最終目標となりますが、その過程において複数の教員からなる論文指導委員会が系統的な指導を行います。
  4. 東アジア持続的経済発展研究コース(EAコース)では、東アジア地域と世界の持続可能な発展に関わる社会経済的諸問題の解決に貢献しうる実践志向型の学術研究者、国際機関等の実務エコノミストをはじめとするグローバル人材を養成するため、経済・経営学分野の基礎トレーニングを提供するコア科目、それを発展させた専門科目の履修を通じた理論的実証的分析能力の涵養に努めています。主に博士後期課程を対象とする専門B科目群では研究発表中心のワークショップ科目、アカデミック技法や研究者倫理に関する科目、日本と東アジア諸国のフィールド調査、国際学会や国際キャリア開発セミナー、インターンシップへの参加を促す科目を修得することを目標としています。修士論文研究は、指導教員による指導を受けながら、おこない、博士論文研究は、毎年度の研究計画書と研究報告書の提出を義務付け、2名の指導教員による指導を受けながらおこないます。
  5. 自己の研究を各専門分野において的確に位置づけ、その成果と意義を真に国際的な水準で議論し、必要に応じて共同研究体制を構築できる能力を育てます。そのために、多元的な研究方法と多様性に富む研究課題を尊重した演習とワークショップを設けます。また、諸外国に大学院生を派遣すること、諸外国や学外から研究者を招くこと、および様々なプロジェクトを行うことによって、大学院生の研究能力を高めます。
  6. 社会的責任と研究倫理をもって自己の研究を見つめ、それが人や自然との調和ある共存という目的にかなっているかどうかを批判的に吟味する力を育てます。将来、教育・学術・そのほかの分野において指導的役割を果たすために必要な公正で寛容、かつ人間愛豊かな人格を磨きます。

経済学研究科修士課程国際連携グローバル経済・地域創造専攻

 本専攻での教育課程は、ディプロマ・ポリシーに掲げる目標を達成するために、京都大学、グラスゴー大学、バルセロナ大学の3大学を含むGLOCALコンソーシアムが全体として一体的な教育課程(GLOCALプログラム)を編成しています。このGLOCALプログラムには共同学位における大学の組み合わせが複数あり、全体として多種の国際共同学位を授与しますが、本専攻による教育課程はそれら複数の学修経路(スタディトラック)の一つであり、以下の方針でカリキュラムが編成されています。

  1. グローバル経済と地域の関係についてグローバルな環境の下で学ぶために、GLOCALプログラムに所属する多様な出身国・学修歴の学生全員が秋人学によりグラスゴー大学にて学修を開始し、複数の学修経路(スタディトラック)に岐かれつつ、一方向・同一時期の移動により、3つの国の3つの大学で学修します。
  2. 第1学期(グラスゴー大学)、第2学期(バルセロナ大学)、第3学期(京都大学)においては、コースワーク中心に編成されたカリキュラムによってグローバル化とその下での地域の変容・主体性に関する基礎知識を学び、またこれを分析するための歴史的素養と経済学的な知識を修得します。
  3. 英語をアカデミックなツールならびに実践上の意思疎通手段として使いこなすために、グラスゴー大学、バルセロナ大学、京都大学での学修の課程全体を通じ、英語によってプログラムを提供します。授業担当者の多国籍性、フィールド授業・グループ学習・サマースクール等を含む多様な内容と、第3学期・第4 学期での少人数教育により、異文化対応力や国際的コミュニケーションの能力を向上させ、リーダーシップを涵養します。
  4. 批判的で分析的な思考を行うために、第1学期から第3学期で提供するコースワークは社会や組織が直面する現実の問題を扱う科目を含むものとします。第3学期には学位論文の主題に関する研究に着手するものとし、第4学期を、3大学教員による共同個別指導下で行う学位論文の作成(Master Thesis Researchを履修)の期間とします。
  5. 自己の研究を各専門分野において的確に位置づけ、その成果と意義を真に国際的な水準で議論し、必要に応じて共同研究体制を構築できる能力を育てます。そのために、多元的な研究方法と多様性に富む研究課題を尊重した演習とワークショップを設けます。また、諸外国に大学院生を派遣すること、諸外国や学外から研究者を招くこと、および様々なプロジェクトを行うことによって、大学院生の研究能力を高めます。
  6. 社会的責任に関する自覚を涵養し、研究倫理に関する理解を深めるため、関連の授業科目等を設け、また特別研究において個別指導を行います。

関連リンク

理念・ポリシー | 京都大学 大学院経済学研究科・経済学部