1.はじめに
国立大学は、平成16年4月から国立大学法人となり、同時に、新しい会計制度が導入されました。新しい会計制度では、企業会計原則をベースにして教育研究という大学の業務内容の特性に配慮した、国立大学法人特有の会計処理を施した「国立大学法人会計基準」に基づいて財務諸表等を作成することになっています。同時に、大学の財政状態や運営状況を広く国民のみなさまに説明するために開示することになっています。
本学の財務諸表等は、平成17年6月29日経営協議会(学内委員12名、学外委員12名で構成)で審議の後、役員会で決定され、同6月30日に文部科学大臣に提出し、同8月29日に文部科学大臣の承認をいただきました。
2.決算の概要
1) 貸借対照表とは、本学の財政状態を明らかにするため、決算日におけるすべての資産、負債及び資本を記載し、これらを報告するものです。
2) 損益計算書とは、本学の運営状況を明らかにするため、一会計期間における本学のすべての費用と収益とを記載し、報告するものです。
3) キャッシュ・フロー計算書とは、本学における資金の調達や運用状況を明らかにするため一会計期間の資金の流れを3つの区分に分けて開示し、報告するものです。
4) 利益処分とは、毎事業年度の損益計算において生じた利益を、翌事業年度にどのように引継ぐかということです。この内訳を示すものが「利益の処分に関する書類」であります。
5) 国立大学法人等業務実施コスト計算書とは、国民の負担となるコストを開示することで納税者である国民に対する説明責任を確保するため、本学の業務運営に関して国民が負担するコストがどれだけかかっているかを表すものであります。
6) 当期総利益とは、平成16事業年度の収益合計1,312億円から費用合計約1,251億円を差引いた約61億円となります。その内訳は、法人への移行時に限り生じる剰余金約25億円、病院施設整備のための借入金償還額とその減価償却費の差による利益といった、国立大学法人会計の会計処理上発生する利益が約23億円で、大学の運営上重要となる経営努力による利益が約13億円となっております。
3.おわりに
本学の教育研究活動の充実・発展のためには、財政基盤の裏付けを必要とし、決算の分析を通じて、業務の効果的・効率的な運営を行うとともに、中長期的財政状況を見通したうえ、自己収入の安定的確保に努め、安定した財政基盤の構築に努力していきたいと思います。
京都大学理事(財務担当)
辻 文三