半値幅5nmに迫る超狭帯域発光を示す分子を開発―次世代ディスプレイ創出とLEDの応用範囲拡大に期待―

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 畠山琢次 理学研究科教授、儘田正史 同准教授、越智純毅 同助教、片岡宏太 同修士課程学生(研究当時)、Lee Taehwan 同博士後期課程学生らの研究グループは、「多重共鳴」とよばれる分子設計を発展させ、極めて小さな半値幅の発光を示す有機材料の開発に成功しました。

 一般的な有機材料の発光は、40nm(nm、ナノメートル、10億分の1メートル)を超える半値幅(ピークの半分の高さでの幅)を有します。広い半値幅は、さまざまな色が混ざった光を意味し、ディスプレイが表現できる色域を制限する要因となります。有機発光材料を用いた有機発光ダイオード(OLED)は、スマートフォンなどのディスプレイで広く実用化されているため、より高精細な次世代ディスプレイの開発に向けて有機材料の発光半値幅を狭くする技術開発が求められています。畠山教授らが2016年に見出した分子設計指針によって、過去10年間で狭帯域発光を示す材料開発が大きく進展しました。しかしながら、これらの材料からの発光でも、レーザーのような理想的な単色光と比べると、依然としてスペクトル幅が大きいのが現状です。

 畠山教授らの多重共鳴とよばれる分子設計は、発光に関与する電子の励起状態(エネルギーが高い状態)と分子振動の相互作用を抑制し、半値幅が広がるのを防ぐことができます。今回の研究では、多重共鳴効果を示す基本単位を適切な位置で複数連結することで、多重共鳴効果を保ちながら、励起子を分子全体にわたって広く非局在化できる新規材料を設計し、低極性溶媒中において半値幅5.5nmの極めて狭い発光を実現しました。さらにOLED素子においても、従来材料を大きく上回る先鋭な発光特性を達成しました。

 本成果は、レーザーとは異なる「自然放出」光に基づくLEDにおいても、「誘導放出」に由来するレーザー特有の単色性に迫ることが可能であることを示したものであり、次世代ディスプレイの実現に加え、LEDの応用範囲を拡張する新たなエレクトロニクスへの展開が期待されます。

 本研究成果は、2026年6月11日に、国際学術誌「Science」にオンライン掲載されました。

画像
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本研究で開発した含BNナノカーボン多重共鳴分子の構造と発光スペクトル(作成:儘田正史)
研究者情報
研究者名
Kota Kataoka
研究者名
Lee Taehwan
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1126/science.aee0001

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/301329

【書誌情報】
Masashi Mamada, Kota Kataoka, Junki Ochi, Taehwan Lee, Ryuji Matsumoto, Mayu Yoshioka, Daisuke Fukushima, Takuji Hatakeyama (2026). Organic spontaneous emission approaching the monochromatic limit. Science, 392, 6803, 1148-1153.