メタボ健診・特定保健指導制度の課題を提言 -エビデンスに基づく制度改善に期待-

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福間真悟 医学研究科特定 准教授、津川友介 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA) 助教授 、飯塚敏晃 東京大学 教授らの研究グループは、特定健診(メタボ健診)に基づく特定保健指導(以下、保健指導)について、就労世代男性7.5万人の大規模な健診データを用いた効果検証を行いました。

その結果、メタボと判断され「保健指導の対象となること」によって0.4%(前年度からの改善割合)と軽度の肥満改善を認めました。保健指導の対象になった人の中で、実際に保健指導を受けた人の割合は16%にとどまりました。保健指導の対象者の内で「実際に保健指導を受けたこと」によって、2%の肥満改善を認めました。一方、血圧・血糖・脂質などの健康指標に関しては、「保健指導の対象となった」場合および「実際に保健指導を受けた」場合の両者において、改善を認めませんでした。

今回の研究では、保健指導制度は肥満の軽度改善にはつながったものの、血圧・血糖・脂質の改善は認められず、国民の健康状態を改善させるためには科学的な根拠(エビデンス)に基づき制度を見直し、必要に応じて改善し、より効果的なものにする必要があることを示唆しています。

本研究成果は、2020年10月6日に、国際学術誌「JAMA Internal Medicine」のオンライン版に掲載されました。

図:本研究の概要図

詳しい研究内容について

書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1001/jamainternmed.2020.4334

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/255483

Shingo Fukuma, Toshiaki Iizuka, Tatsuyoshi Ikenoue, Yusuke Tsugawa (2020). Association of the National Health Guidance Intervention for Obesity and Cardiovascular Risks With Health Outcomes Among Japanese Men. JAMA Internal Medicine, 180(12), 1630-1637.

  • 産経新聞(10月9日 22面)、日本経済新聞(10月6日 38面)および読売新聞(10月18日 31面)に掲載されました。