衛星ビッグデータと世界位置情報を統合解析する手法を世界で初めて開発 -標高ビッグデータで津波リスク予測ほかデータ利活用を促進-

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公開日

佐藤彰洋 情報学研究科特定准教授らの研究グループは、一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構、株式会社MM総研と共同で、衛星ビッグデータと世界位置情報を統合解析する手法を世界で初めて開発し、この手法を用いて作成した標高統計データベースを無償公開しました。津波リスク予測など各種解析への利活用が期待されます。

研究者からのコメント

全世界規模で衛星ビッグデータが得られるようになってきましたが、反面、大量にありすぎるため人手では取り扱うことが困難であるという課題がありました。今回、我が国固有の地域メッシュコード(日本工業規格 JIS X0410)を全世界に拡張した新しいコード体系を開発しました。この規格に従いデータを統計処理することにより、世界のあらゆる場所で衛星ビッグデータと他のビッグデータを容易に連結分析することができるようになります。今回無償公開します標高統計データをお手にとっていただき、このデータの美しさを体感して頂ければ幸いです。

概要

近年、衛星による観測技術が発展し、全世界レベルで様々な衛星ビッグデータが得られるようになってきました。しかし、衛星ビッグデータはこれまで世界位置情報(緯度、経度、面積区画)との標準的な紐付けがなされていなかったため、相互運用が困難でした。相互運用によって複数のデータの統合解析や他のデータ種との相関解析を可能にすることは、衛星データの商用的普及において大きな課題となっていました。

今回本研究グループは、日本工業規格(JIS)の地域メッシュコード(JIS X0410)を独自に拡張して世界メッシュコードと呼ぶデータ形式を世界で初めて開発しました。さらに、衛星ビッグデータを世界メッシュコードに紐づけて「統計データベース」を高速に生成する新アルゴリズムの開発に成功しました。これにより、衛星ビッグデータを1/337に圧縮することができます。

この手法を用い、衛星搭載型地球観測光学センサASTERが観測したASTER GDEM(全球3次元地形データ)に記録される標高ビッグデータから、標準的集計が可能な統計データベース(標高統計データベース)を世界で初めて作成し、一般利活用促進のため無償オープンデータとして2018年2月15日に公開しました。

図:世界メッシュコード体系の概念図

詳しい研究内容について