研究者情報
研究者名
甲斐 嘉晃
概要
近畿大学大学院農学研究科(奈良県奈良市)水産学専攻博士前期課程2年 成田一平(研究当時)、角田恭平(研究当時)、同博士後期課程3年 髙作圭汰、同博士後期課程1年 香田万里、同博士前期課程1年 武廣陽斗、滋賀県水産課(滋賀県大津市)石崎大介、京都大学フィールド科学教育研究センター(京都府舞鶴市)准教授 甲斐嘉晃、東北大学大学院農学研究科(宮城県仙台市)教授 池田実、近畿大学農学部(奈良県奈良市)教授 亀甲武志らの研究グループは、琵琶湖のワカサギの産卵時期が約25年前と比較して1~2カ月ほど早期化していることを科学的に明らかにしました。
産卵時期が早期化した要因として、「早期産卵の性質を有する個体の割合増加」「琵琶湖の冬季の水温上昇に対する環境適応」「産卵を促す河川水温の低下時期の早期化」の3点の可能性が考えられました。このような産卵時期の変化は、今後、全国各地の湖沼でも生じる可能性があります。本研究は、ワカサギの資源変動を予測し、適切な資源管理を考える上で重要な科学的知見であり、今後の全国的な湖沼調査の基礎となることが期待されます。
本件に関する論文が、令和8年(2026年)9月9日(水)に、日本水産学会誌にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「琵琶湖の漁業者からは、『ワカサギが卵を持つ時期や、産卵のために河川へ遡上する時期が昔より早くなっている』という話を以前からよく聞いていました。こうした現場の情報から、琵琶湖のワカサギでは産卵時期の早期化が起きている可能性が示唆されていました。しかし、琵琶湖のワカサギの産卵に関する調査は平成9年(1997年)以降実施されていなかったため、令和2年(2020年)から学生たちとともに産卵調査を開始しました。学生たちの努力の結果、琵琶湖流入河川におけるワカサギの産卵時期が過去と比べて早期化していることを確認できました。さらに、琵琶湖沿岸でも、流入河川とほぼ同じ時期にワカサギが産卵していることを明らかにしました。この成果は、ワカサギの産卵時期の早期化を実証した世界で初めての報告です。今後、地球温暖化の進行に伴ってワカサギの産卵時期がさらに変化することが予測されることから、本研究の成果は、全国の湖沼におけるワカサギの産卵時期の変化や資源変動を理解・予測する上で重要な基礎情報になると考えられます。」(亀甲武志)