微生物汚染リスクの低いラット精子凍結保存液を開発―凍結融解精子から体外受精で産仔作出に成功―

ターゲット
公開日

研究者情報

研究者名

守田 昂太郎

概要

 京都大学大学院医学研究科 守田昂太郎 特定助教(研究当時、現:理化学研究所バイオリソース研究センター研究員)、浅野雅秀 同教授(研究当時、現:同研究員)、理化学研究所バイオリソース研究センター 持田慶司 特別嘱託技師、小倉淳郎 同副センター長、井上貴美子 同室長らの共同研究グループは、卵黄などを含まない化学的組成が明らかなラット精子用の凍結保存液を開発し、この保存液で凍結したラット精子を用いて、体外受精により効率よく産仔を得ることに成功しました。従来のラットの精子凍結には、凍結保護効果が古くから知られている鶏の卵黄や細胞毒性の高い試薬が用いられていました。特に卵黄の使用には、サルモネラ菌などによる汚染リスクがあり、成分もロット毎に異なるため再現性にも問題がありました。当研究グループは、卵黄や細胞毒性の高い物質を用いず、様々な凍結保護剤の効果を検討し、凍結融解後のラット精子の運動性や細胞膜の損傷を調べることにより、化学的組成が明らかな凍結保存液の開発に成功しました。この凍結保存液で凍結したラット精子を融解後、体外受精に用いたところ、卵子の約70%が受精しました。さらに、得られた受精卵を胚移植したところ、移植した受精卵の約36%から産仔が得られ、実用的な繁殖成績を示しました。

 本研究成果は、2026年9月16日に、国際学術誌「Biology of Reproduction」にオンライン掲載されました。

画像
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作成者:守田昂太郎(イラストの生成にOpenAI ChatGPT Images 2.5を使用)

研究者のコメント

「卵黄を使わない実用的なラットの精子凍結保存液は今までに報告がなく、開発には多くの困難があり、研究が思うように進まず、何度も諦めそうになりました。それでも、多くの方々に支えていただきながら研究を続け、今回の成果に繋げることができました。凍結精子を用いて実際に受精卵や産仔が得られた時は何より嬉しく、忘れられない瞬間となりました。ご支援、ご協力いただいた皆様に心より感謝いたします。」(守田昂太郎)