研究者情報
研究者名
上西 太朗
研究者名
中野 隆文
概要
世界には3000種以上のムカデがいるとされています。中でも、土壌などに生息する微小な種からなるメナシムカデ属は特に種数が多く、世界中に広く分布するグループです。しかし日本ではごく稀にしか見つからないことから、国内にどれほどの種が分布し、それらがどのような起源をもつのかは謎に包まれていました。
上西太朗 理学研究科博士後期課程学生(研究当時、現:日本学術振興会特別研究員)と中野隆文 同准教授は、国内各地で採集された標本の遺伝解析と形態観察によって、国内にメナシムカデ属の6種が分布することを明らかにし、このうち1種を新種として記載しました。また、日本産の種は単一の祖先から生じたわけではなく、異なるルーツをもつ複数の系統に由来することが明らかとなりました。この中には、日本列島が大陸の一部だった古い年代から残っている種と、新しい年代に海を越えて進出したと考えられる種の両方が含まれており、土壌動物の多様性が幅広い時間スケールで、複雑な歴史を経て育まれてきたことを示すものです。
本研究成果は、2026年8月28日に国際学術誌「Invertebrate Systematics」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「メナシムカデ類は日本ではめったに見つけられない謎のムカデでしたが、外部の方々のご協力も得て何とか集まったサンプルを解析した結果、思いがけない複雑な歴史が見えてきました。ムカデたちが辿ってきた長い旅路に思いを馳せつつ、生物多様性の形成過程に深く迫るような研究に発展させていきたいと考えています。」(上西太朗)
【DOI】
https://doi.org/10.1071/IS26025
【書誌情報】
Taro Jonishi, Takafumi Nakano (2026). Multiple origins and complex evolutionary history of Cryptops centipedes (Chilopoda: Scolopendromorpha: Cryptopidae) inhabiting East Asian islands, with systematics of Japanese species. Invertebrate Systematics, 40, 8, IS26025.