イソブタノールによる酵母の生育阻害メカニズムを解明~次世代バイオ燃料の高効率生産につながる新たな知見~

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 地球温暖化対策や化石資源依存からの脱却に向けて、再生可能資源を原料として生産されるバイオ燃料への期待が高まっています。なかでもイソブタノールは、高いエネルギー密度と既存の燃料インフラとの高い親和性を有することから、次世代バイオ燃料として注目されています。

 しかし、生産されるイソブタノールは宿主である出芽酵母自身の生育を強く阻害するため、生産量向上の大きな障害となっています。これまでイソブタノールによる生育阻害は、細胞膜の流動性低下やタンパク質の変性などによる非特異的な細胞機能障害として説明されてきましたが、実際にどの分子が直接の標的となって生育阻害を引き起こしているのかは、これまで分かっていませんでした。

 菅瀬謙治 農学研究科教授、黒田浩一 京都工芸繊維大学教授らの研究グループは、黒田教授がこれまでに発見していた「イソブタノールによる栄養飢餓応答の誘導」という現象に加え、同教授が実験を進める過程で得た気づきをもとに、「ロイシン認識機構がイソブタノールによる生育阻害の鍵を握る」という独自の仮説を構築しました。その仮説を検証した結果、イソブタノールが細胞質型ロイシルtRNA合成酵素 (LeuRS)に直接結合し、ロイシンとの結合を競合的に阻害することを世界で初めて明らかにしました。

 本研究成果は、これまで分かっていなかったイソブタノールによる生育阻害の分子標的を世界で初めて特定し、その生育阻害機構の理解を大きく前進させるものです。今回得られた知見は、イソブタノール耐性酵母の開発に向けた新たな分子育種戦略を提供するものであり、将来的なイソブタノールの高効率生産や持続可能なバイオ燃料生産技術の実現につながることが期待されます。

 本研究成果は、2026年6月4日に、国際学術誌「Journal of Biological Chemistry」にオンライン掲載されました。

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