金星大気客観解析データセット「ALERA-V」を一般公開―金星探査機「あかつき」の観測を世界初の「標準データ」として公開へ。地球並みの詳細な気象解析を可能に―

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 榎本剛 防災研究所教授、藤澤由貴子 慶應義塾大学研究員、杉本憲彦 同教授、村上真也 宇宙航空研究開発機構(JAXA)主任研究開発員、高木征弘 京都産業大学教授、今村剛 東京大学教授、はしもとじょーじ 神戸大学教授、樫村博基 同准教授、林祥介 同名誉教授、三好建正 理化学研究所チームプリンシパルらの研究チームは、金星探査機「あかつき」の観測データとスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を用いた数値シミュレーションを融合させた、金星大気客観解析データセット(気象データセット)「ALERA-V version 1.0」を構築・公開しました。

 本研究チームは2022年に、地球の気象予報や気象学研究で用いられているデータ同化手法を金星大気大循環モデルに導入し、「あかつき」による高解像度・高頻度の水平風速データを数値モデルに取り込むことに成功しています。今回の論文では、本データセットの作成手法、品質評価、データ形式および利用方法を詳細に記述し、世界中の研究者が即座に高度な解析を行える「オープンな標準データセット」として構築しました。地球や火星以外の惑星において、全球規模の客観解析データセットが一般公開されるのは世界初の試みです。

 本データの公開により、地球大気に対して行われてきた詳細な気象構造の解析手法が、金星においても可能となり、金星大気の力学的な仕組みの解明が大きく進展することが期待されます。

 本研究成果は、2026年5月12日に、データ論文として国際学術雑誌「Geoscience Data Journal」にオンライン掲載されました。なお、データセット本体はJAXAのデータ公開サイト「DARTS」から参照できます。

画像
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あかつきの観測データ(observation)と AFES-Venus による数値シミュレーションの予報データ(forecast)を、データ同化手法 LETKF により統合するしくみ。金星大気のより「確からしい」状態(analysis)を時空間的に再構成した客観解析データALERA-Vの公開は、世界初の金星大気のオープンデータ化である。

研究者のコメント

「世界的に見てもこのユニークなデータセットが公開されたことは、我が国が惑星気象学に大きな貢献をしていることを示すものです。このデータセットが多くの研究で使われることにより、金星大気、ひいては地球の気候の理解が進むことが期待されます。データの作成に使われた金星探査衛星『あかつき』は役目を終えましたが、将来新たな観測が得られれば、質と量を改善することができます。」(榎本剛)

研究者情報
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1002/gdj3.70080

【書誌情報】
Yukiko Fujisawa, Shin-ya Murakami, Norihiko Sugimoto, Nobumasa Komori, Masahiro Takagi, Takeshi Imamura, Takeshi Horinouchi, George L. Hashimoto, Masaki Ishiwatari, Takeshi Enomoto, Takemasa Miyoshi, Hiroki Kashimura, Toshiki Matsushima, Yoshi-Yuki Hayashi (2026). ALERA-V Version 1.0: An Objective Analysis Dataset of the Venus Atmosphere. Geoscience Data Journal, 13, 3, e70080.

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