モサンマツ・ラシヅ・ルバヤ 理学研究科博士研究員(現:米国テキサス・サザン大学(Texas Southern University)博士研究員)、川又生吹 同准教授、谷茉莉 同准教授、角五彰 同教授らは、自己駆動する分子サイズのアクティブマター素子の群れが生み出す力の測定に世界に先駆けて成功しました。生物の中には、鳥や魚の群れ、蟻の集団のように、群れを形成することで、単体では実現できない性質や機能、力を生み出すものがいます。これらは近年、アクティブマター物理学の観点からも注目されています。これまでに、アクティブマター素子による群れは実現されていましたが、協働的に生み出される力の大きさはわかっていませんでした。本研究では独自開発した磁気ピンセットと磁性ビーズを用いて、群れに外力を加えた際のビーズの運動速度変化を調べることで、群れが生み出す力の計測に成功しました。これにより、アクティブマター素子の群れの力は、群れの大きさに対して加算的に増加することがわかりました。本成果は群れによる機能実装への大きな知見をもたらします。
本研究成果は、2026年4月30日に、国際学術誌「ACS Nano」にオンライン掲載されました。
研究者のコメント
「私たちは協力することで、一人ではできないことを実現できます。分子の世界でも同じようなことが起こります。例えば綱引きでは、声をかけ合ったりタイミングを合わせたりして、大きな力を出す工夫をしています。分子モーターにはリーダーはいませんが、同じ対象につながることで互いの力を感じ取り、自然にタイミングをそろえて力を発揮します。こうした仕組みに触れ、小さな分子が何千も集まって効率よく力を生み出せることに強く惹かれ、その力を実際に測定しました。」(モサンマツ・ラシヅ・ルバヤ)
【DOI】
https://doi.org/10.1021/acsnano.5c20263
【書誌情報】
Mst. Rubaya Rashid, Mousumi Akter, Arif Md. Rashedul Kabir, Kazuki Sada, Tetsuya Hiraiwa, Akinori Kuzuya, Ibuki Kawamata, Marie Tani, Akira Kakugo (2026). Linear Force Scaling in Kinesin-Driven Microtubule Swarms Revealed by Electromagnetic Tweezers. ACS Nano.