新種の原子核!?強い相互作用だけで束縛した中間子原子核の兆候を初観測―質量の起源解明への新たな一歩―

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 関屋涼平 理学研究科大学院生(現:大阪大学特任研究員)、板橋健太 大阪大学教授、田中良樹 理化学研究所研究員、クリストフ・シャイデンバーガー(Christoph Scheidenberger) ドイツ重イオン研究所(GSI Helmholtz Centre for Heavy Ion Research)教授、比連崎悟 奈良女子大学教授、山縣淳子 京都産業大学教授、池野なつ美 神戸大学准教授、フォルカー・メタグ(Volker Metag) ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学ギーセン(Justus Liebig University Giessen)名誉教授とマリアナ・ナノヴァ(Mariana Nanova) 同研究員らの国際共同研究グループは、中間子の一種であるη′中間子と原子核が強い相互作用のみで束縛した新しい状態(η′中間子原子核)の兆候を世界で初めて観測しました。

 現代物理学において、物質の質量がどのように生まれたか、という問いに対する答えは未だよくわかっていません。理論では、物質の質量は真空の複雑な構造に由来すると考えられていますが、実験的な知見は限られています。物質質量の起源を検証するには、真空の構造が変化した原子核内部で中間子の質量を測定することが有効です。そのため、研究グループは、数ある中間子の中でもη′中間子に着目し、η′中間子原子核というこれまで発見されていない新しい原子核の観測を目指した実験を行いました。
本研究では、η′中間子原子核の生成事象を選択的に捉えるための新しい実験セットアップを構築しました。これにより、世界で初めてη′中間子原子核の存在の兆候を示す実験結果を得ることに成功しました。これは、原子核内部でη′中間子の質量が減少していることを示唆する世界初の結果です。本研究は真空の構造に関する新たな視点を提供する可能性があり、物質質量の起源の解明に繋がることが期待されます。

 本研究成果は、2026年4月7日に、国際学術誌「Physical Review Letters」に掲載され、同誌の「Featured in Physics」に選ばれました。

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η'中間子原子核の生成反応と崩壊の概念図

研究者のコメント

「η′中間子原子核の生成と探索をめざしたこの国際共同研究は2012年2月に気温−20度のドイツ・ギーセンから始まりました。日独を中心とした研究者が集まり、熱い議論を戦わせました。本論文は、それから14年後、得られた結果を出版するものです。これからより詳細な研究を進めるべく準備しています。」(板橋健太)

研究者情報
研究者名
Ryohei Sekiya