冬の山でなわばりを守るミソサザイ―繁殖なわばり争いは非繁殖期に始まっていた―

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 ミソサザイは、低山帯から亜高山帯といった標高の高い地域で、春から夏にかけて繁殖する小鳥です。秋から冬の非繁殖期には、こうした山地は厳しい寒さに見舞われるため、ミソサザイは低地へ移動すると考えられていました。

 惣田彩可 理学研究科博士課程学生は、足環を装着して個体識別をしたミソサザイを、非繁殖期から繁殖期にかけて野外で追跡調査しました。その結果、ミソサザイの雄には、非繁殖期にも山地にとどまり、なわばり争いをする個体がいることを明らかにしました。これらの雄の多くは、翌春の繁殖期まで同じなわばりを維持し、繁殖のためのなわばりとして利用していました。このことから、ミソサザイにおける繁殖のためのなわばり争いは、非繁殖期の間に始まっていることが示唆されました。この成果は、鳥類の繁殖生態を理解するためには、繁殖期に限らず、非繁殖期にも着目する必要があることを示しています。

 本研究成果は、2026年3月9日に、国際学術誌「Ardea」にオンライン掲載されました。

画像
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ミソサザイの雄(撮影:惣田彩可)。緑色の足環で個体識別されている。

研究者のコメント

「調査地である芦生研究林で冬に鳥類相調査を行ったところ、予想外にミソサザイが多数観察されたことがきっかけで本研究を始めました。ミソサザイを捕獲するための罠を担いで歩きながら、寒い山の中で地道に調査を行ったことで、これまで知られていなかった生態を明らかにすることができました。」(惣田彩可)

研究者情報
研究者名
惣田 彩可