Gαノックアウト細胞で切り分けたGPCRシグナル―“特異的”と信じられてきた転写レポーターの再定義―

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 齋藤郁貴 薬学研究科博士課程学生、木瀬亮次 同助教、井上飛鳥 同教授(兼:東北大学教授)の研究グループは、Gαタンパク質の遺伝子欠損細胞を用いた網羅的な解析によってGαタンパク質による転写活性制御を精緻に対応付けしました。

 Gタンパク質共役型受容体(G-protein–coupled receptor:GPCR)は、細胞外のシグナル分子と結合することで活性化状態に構造変化し、Gαタンパク質(Gαs/olf、Gαi/o、Gαq/11、Gα12/13の4つのサブファミリーに大別される)を介して細胞内シグナルを伝達します。これまで、GPCRによって誘導される転写応答配列の制御は、それぞれ特定のGαサブファミリーのシグナルの活性化に対応して生じると想定されていましたが、その対応関係は十分に検証されていませんでした。本研究では、内因性Gαタンパク質をCRISPR-Cas9法により個別に遺伝子欠損させたノックアウト細胞を用いて系統的に解析しました。その結果、Gαタンパク質と転写応答配列の関係は、従来考えられていたよりも多様であることが明確になりました。本研究は、GPCRを介した転写活性の解釈に新たな視点を提供するものであり、今後のGPCRシグナル解析や創薬研究への貢献が期待されます。

 本研究成果は、2026年1月23日に、国際学術誌「Communications Biology」にオンライン掲載されました。

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本研究で明らかにしたGαタンパク質と転写応答配列の新たな対応関係

研究者のコメント

「GPCRのシグナル伝達において、Gαタンパク質に由来するシグナルは中心的な役割を担っています。そのため、GPCRを標的とした創薬研究では、どのGαタンパク質が活性化されているのかを正確に評価することが非常に重要です。本研究で明らかにしたGαタンパク質と転写応答配列との対応関係は、今後のGPCRシグナルの解釈精度を高め、創薬研究の発展に貢献することが期待されます。」(齋藤郁貴)

研究者情報
研究者名
木瀬 亮次
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1038/s42003-026-09569-z

【KURENAIアクセスURL】
http://hdl.handle.net/2433/299544

【書誌情報】
Ayaki Saito, Ryoji Kise, So Yamaguchi, Masataka Yanagawa, Asuka Inoue (2026). Re-evaluating Gα protein–response element specificity in GPCR signaling. Communications Biology, 9, 288.