群れはどのようにまとまりを保つのか?―パタスモンキーの集団移動の維持機構―

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 群れで暮らす動物は、互いの位置や動きに注意を払いながらまとまりを保っています。しかし、個体が何を手がかりにどんな行動によって調整しているのかは十分に解明されていません。

 半沢真帆 理学研究科博士課程学生(現:兵庫県立大学特別研究員)、中川尚史 同教授、森光由樹 兵庫県立大学准教授、Erasmus H. Owusu ガーナ大学(University of Ghana)教授、Richard D. Suu‑Ire 同准教授(現:同教授)らの研究グループは、サバンナに暮らすパタスモンキー群を対象に、個体の位置と行動を同時記録し、集団移動の協調メカニズムを調べました。その結果、メスは見回し行動によって周囲のコドモの数を監視し、まとまりを維持していることが示唆されました。一方、オスはメスとの移動速度差が大きい時に見回し行動を行い、その後さらに差が拡大したことから、群れの同調よりも捕食者や他群への警戒行動として機能する可能性があります。さらに、メスの音声が他個体の移動を加速させる意図的コミュニケーションとして働くことも示されました。本研究は、GPS追跡と直接観察を統合した手法の意義を示し、野生動物の集団行動の理解を前進させる成果です。

 本研究成果は、2026年1月8日に、国際学術誌「Behavioral Ecology and Sociobiology」にオンライン掲載されました。

画像
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左:食物を探しながら広がって移動するパタスモンキーの群れの様子、中央・右:木に登って見回し行動をするオトナオス(中央)とオトナメス(右)の様子

研究者のコメント

「幼少期にテレビで見たヌーの大移動をきっかけに、群れをなす野生動物の壮大さに惹かれてきました。本研究では、通常は直接観察できない動物に用いられるGPS首輪を、あえて観察可能な動物に装着するという逆の発想により、現場で感じた印象とGPSデータが重なっていく分析の面白さを実感しました。幼少期から抱いてきた興味を学術研究として形にでき、野生動物研究の面白さと奥深さに改めて魅了されています。」

研究者情報
研究者名
半沢 真帆
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1007/s00265-025-03684-3

【書誌情報】
Maho Hanzawa, Yoshiki Morimitsu, Erasmus H. Owusu, Richard D. Suu-Ire, Naofumi Nakagawa (2026). How do individual behaviors based on visual and auditory cues facilitate spatiotemporal coordination in collective movement of patas monkeys (Erythrocebus patas)? Behavioral Ecology and Sociobiology, 80, 1, 9.