PAN XUCHI 医学研究科博士課程学生(研究当時)、成瀬智恵 同准教授、浅野雅秀 同教授(研究当時)らの共同研究グループは、ケモカイン受容体CXCR4の潜在的なO型糖鎖付加部位が細胞の遊走と造血幹・前駆細胞(HSPC)のホーミングに重要な役割を果たすことを発見しました。
本研究グループはこれまでに、糖鎖がHSPC移植後の骨髄へのホーミングに重要であることを報告してきました。また、CXCR4はHSPCのホーミングに関わる重要な分子ですが、CXCR4を修飾する糖鎖の役割は不明でした。本研究で、培養細胞へのCXCR4変異遺伝子の導入やCrispr/Cas9法により作製したCXCR4のO型糖鎖付加可能部位の2つのアミノ酸であるSer-5とSer-9の変異(S5AS9A)マウスを用いて実験を行った結果、S5AS9A変異CXCR4による培養細胞やHSPCの遊走能力と骨髄へのホーミング能力が有意に低下することがわかりました。この研究結果は、骨髄移植用造血幹細胞の移植後の生着効率向上の研究への展開が期待されます。
本研究成果は、2025年5月4日に、国際学術誌「Stem Cells」にオンライン掲載されました。

【DOI】
https://doi.org/10.1093/stmcls/sxaf025
【書誌情報】
Xuchi Pan, Chie Naruse, Tomoko Matsuzaki, Ojiro Ishibashi, Kazushi Sugihara, Hidetsugu Asada, Masahide Asano (2025). Critical role of the potential 𝘖-linked glycosylation sites of CXCR4 in cell migration and bone marrow homing of hematopoietic stem progenitor cells. Stem Cells, sxaf025.