川や池の水を汲むだけで生息する水生昆虫相が判る時代に大きく前進!世界的に希求されてきた昆虫類のDNAバーコーディング解析における汎用性遺伝マーカーを開発

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 近年、川や池の水を汲むだけでそこに生息する生物相を網羅的に究明する、環境DNAからのメタゲノム(群集)解析は、世界的にも大きな脚光を浴び、需要が高まっています。魚類や鳥類、哺乳類、甲殻類などでは汎用性の高い遺伝子マーカー(PCRプライマー)が開発されており、環境DNA解析などに多用されています。

 地球上で最も種多様性の高い生物群である昆虫では、網羅的な群集解析の需要こそ大きいものの、種多様性が高い分だけ遺伝的多様性も高いことから、昆虫全般に適用可能な汎用性の高い遺伝子マーカー開発は困難視され、他の動物群に比べて遅れをとってきました。しかし、今回、鈴木智也 地球環境学堂特定研究員、竹中將起 信州大学特任助教、谷野宏樹 基礎生物学研究所学振特別研究員(PD)、東城幸治 信州大学教授らが公開した遺伝子マーカーは、論文内の試行においても高い汎用性が示されており、水生昆虫だけでなく昆虫類における群集解析が急激に加速することが期待されます。

 本研究成果は、2023年1月3日に、「Limnology」に掲載されました。

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研究者情報
研究者名
鈴木 智也
書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1007/s10201-022-00710-5

【書誌事項】
Masaki Takenaka, Koki Yano, Tomoya Suzuki, Koji Tojo (2023). Development of novel PCR primer sets for DNA barcoding of aquatic insects, and the discovery of some cryptic species. Limnology, 24(2), 121–136.