オープンソースで野外植物フェノタイピング用ローバーを開発 -狭い場所でもスイスイ計測-

ターゲット
公開日

 那須田周平 農学研究科教授は、郭威 東京大学特任准教授、スイスチューリッヒ大学、横浜市立大学の研究者と共同で、効率的な植物の表現型計測を実現する高速フェノタイピングローバーを開発しました。

 植物の生育状態を測定するフェノタイピングは、手作業では非効率なため、IT技術を活用した効率化が求められています。しかしながら広く用いられているドローンなどの技術だけでは適さない場面も少なくないため、例えば狭い土地など他の技術の導入が困難な場所でも効率的なフェノタイピングを行える装置が必要です。今回、場所や条件を選ばずに導入できる効率的な測定法として地上走行型のローバーに着目しました。市販のパーツを用いて組み立てたローバーを開発し、試験運用を行いました。その結果、車体に搭載したカメラの写真から、植物の生育状態を効率的に定量化することができました。さらに、このローバーの設計をオープンソース・ハードウェアとして公開し、だれもが自由にアクセスし、用途に合わせて応用できるようにしています。

 本研究成果は、2022年3月8日に、国際学術誌「Breeding Science」に掲載されました。

今回開発した高速フェノタイピングローバーを実際に野外で運用している様子
図:今回開発した高速フェノタイピングローバーを実際に野外で運用している様子
研究者情報
書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.1270/jsbbs.21059

Ken Kuroki, Kai Yan, Hiroyoshi Iwata, Kentaro K. Shimizu, Toshiaki Tameshige, Shuhei Nasuda, Wei Guo (2022). Development of a high-throughput field phenotyping rover optimized for size-limited breeding fields as open-source hardware. Breeding Science, 72(1), 66-74.