新たなてんかん治療戦略を提案 -脳の過剰興奮を阻止するタンパク質ADAM22の量が鍵-

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 発症頻度の高い神経疾患である「てんかん」は、いつ発作がおこるか予測困難であり、発作を何度も繰り返すことから、その原因究明と新しい治療薬の開発が強く望まれています。

 今回、深井周也 理学研究科教授、深田正紀 自然科学研究機構生理学研究所教授、深田優子 同准教授、横井紀彦 同助教、平林真澄 同准教授らの研究グループは、てんかん発症の鍵となるタンパク質「ADAM22」が正常に機能するための仕組みを解明し、ある種のてんかんの発症を阻止するために必要なADAM22の量を明らかにしました。

 今回の発見はヒトのてんかん病態の解明と、てんかんの新しい治療戦略の開発に貢献できると考えられます。

 本研究結果は、2021年12月15日に、国際学術誌「Cell Reports」にオンライン掲載されました。

神経細胞のシナプスにおけるADAM22の調節機構
図:神経細胞のシナプスにおけるADAM22の調節機構
研究者情報
書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.1016/j.celrep.2021.110107

【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/266603

【書誌情報】
Norihiko Yokoi, Yuko Fukata, Kei Okatsu, Atsushi Yamagata, Yan Liu, Makoto Sanbo, Yuri Miyazaki, Teppei Goto, Manabu Abe, Hidetoshi Kassai, Kenji Sakimura, Dies Meijer, Masumi Hirabayashi, Shuya Fukai, Masaki Fukata (2021). 14-3-3 proteins stabilize LGI1-ADAM22 levels to regulate seizure thresholds in mice. Cell Reports, 37(11):110107.