8種類の色素性皮膚病変を高精度で判別―診断根拠を可視化するAIを開発、医療現場への導入に期待―

ターゲット
公開日

研究者情報

研究者名

Hiroyuki Irie

概要

 近畿大学医学部(大阪府堺市)皮膚科学教室主任教授 大塚篤司、近畿大学病院(大阪府堺市)皮膚科専攻医・近畿大学大学院医学研究科医学系専攻博士課程 飯沼紀実らの研究グループは、京都大学(京都府京都市)大学院医学研究科皮膚科学教室助教 入江浩之、札幌医科大学(北海道札幌市)、広島大学(広島県東広島市)と共同で、通常のカメラで撮影した一般的な皮膚の画像から、8種類の色素性皮膚病変(しみ・ほくろ・皮膚がんなど)を自動で見分ける人工知能(AI)を開発しました。

 これまでAIによる画像診断は、精度が高くても判断理由がブラックボックスであることが、医療現場で使用するうえでの障壁でした。今回開発したAIは、皮膚写真の「どこに注目して」AIが診断したのかを、色の濃淡で示すヒートマップとして描き出し、見分けた「理由」を人が目で見て確認することが可能です。本研究は、高い診断精度だけでなく、判断根拠を「説明できること」を同時に実現した点に意義があります。

 本件に関する論文が、令和8年(2026年)7月23日(木)に、エルゼビア社が米国皮膚科学会(AAD)とともに発行する皮膚科学の国際的な学術雑誌“JAAD International”に掲載されました。

画像
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AIが「どこを見て診断したか」を示すヒートマップ

研究者のコメント

「色素性病変には良性のものと悪性のものが有り、その判別は臨床上とても重要です。今回は、ダーモスコープという特殊な医療機器を使わずとも、一般的なカメラで撮影した画像を高精度で判別できるAIを開発しました。今後、医療現場に普及することで、皮膚科専門医がいない地域での診断精度向上に寄与することが期待されます。」(大塚篤司)

「本研究で最もこだわったのは、精度そのものよりも『AIがどこを見て、そう判断したのか』を示すことでした。ヒートマップは、AIの視線が確かに病変を捉えていること、そして、病気ごとに見ているポイントが違うことを教えてくれました。医師が根拠を確認できるAIであってこそ、安心して臨床の現場に届けられると考えています。」(飯沼紀実)

書誌情報

【DOI】
https://doi.org/10.1016/j.jdin.2026.07.002

【書誌情報】
Kimi Iinuma, Kazuyasu Fujii, Chisa Nakashima, Kenichiro Kasai, Hiroyuki Irie, Hitonari Kanetomo, Shigeto Yanagihara, Sayuri Sato, Hisashi Uhara, Fumiaki Takeda, Yuichi Kimura, Takashi Nagaoka, Atsushi Otsuka (2026). An explainable deep learning model classifies eight categories of pigmented skin lesions on clinical photographs: A multicenter retrospective internal validation study in Japan. JAAD International, 28, 92-94.