ボルネオ島固有の高地性のカエル2新種の発見 -局所性と固有性が高いタカネチョボグチカエル種群-

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 福山伊吹 人間・環境学研究科・日本学術振興会特別研究員、松井正文 名誉教授、西川完途 地球環境学堂准教授(兼・人間・環境学研究科准教授)、江頭幸士郎 北九州市立いのちのたび博物館学芸員らの研究グループは、マレーシアのボルネオ島の高地に局所分布するタカネチョボグチガエル(Kalophrynus nubicola)に実は3種が含まれていたことを発見しました。

 本研究では、世界遺産でもあるボルネオ島ムル山の高標高地(標高1300–2370m)で、当地固有のタカネチョボグチガエルを採集し、その形態的、遺伝的、音響学的な変異を調査しました。その結果、本種には2種の未記載種(正式な名前がついていない種)が含まれていることが明らかになり、その2種をヒメタカネチョボグチガエル(Kalophrynus dringi)、プンチャックタカネチョボグチガエル(Kalophrynus puncak)として新種記載(命名)しました。

 さらに、本研究では、タカネチョボグチガエル、ヒメタカネチョボグチガエル、プンチャックタカネチョボグチガエルの3種(タカネチョボグチカエル種群)は同じ属の近縁種から系統的に大きく分化していることを発見しました。ムル山を含むボルネオ島北部の山岳地帯は、タカネチョボグチカエル種群以外にも、複数の固有性、系統的独自性の高いカエル類が分布しており、当地のカエル類の系統的、進化的研究を進めていくことで、ボルネオ島におけるカエル類の起源や生物地理に関する重要な知見が得られる可能性を示唆しています。

 本研究成果は、2021年7月 14 日に、国際学術誌「Zoologischer Anzeiger」のオンライン版に掲載されました。

本研究の概要図
図:本研究の概要図
研究者情報
研究者名
松井正文
書誌情報

【DOI】https://doi.org/10.1016/j.jcz.2021.06.016

Ibuki Fukuyama, Masafumi Matsui, Koshiro Eto, Mohamad Yazid Hossman, Kanto Nishikawa (2021). Discovery of a deeply divergent and highly endemic frog lineage from Borneo: A taxonomic revision of Kalophrynus nubicola Dring, 1983 with descriptions of two new species (Amphibia: Anura: Microhylidae). Zoologischer Anzeiger, 293, 326-343.

メディア掲載情報

読売新聞(9月10日 29面)に掲載されました。