量子もつれ光を用いた、新たな赤外分光法を実証 -分析装置の飛躍的な小型化・高性能化に期待-

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 竹内繁樹 工学研究科教授、岡本亮 同准教授、向井佑 同研究員、田嶌俊之 同研究員、荒畑雅也 同博士課程学生らの研究グループは、量子もつれ光の干渉を用い、可視光のみの検出で赤外分光を実現する「フーリエ変換型赤外量子分光法」を提案・実証しました。

 電子や光子などの量子は、通常の物体とは異なった振るまいをします。その量子の個々の振るまいや相関(量子もつれ)を制御することで、飛躍的な計算能力を実現する量子コンピューターや、盗聴不可能な暗号を実現する量子暗号、さらに、従来の計測技術の限界を超える量子センシングなど、「量子技術」の研究が精力的に進められています。

 本研究成果で提案・実証した方法を用いることで、スマートフォンなどで用いられているシリコン光検出器によって、赤外吸収スペクトルや、屈折率スペクトルが取得できるようになります。分析装置の飛躍的な小型化や高感度化が可能となり、量子センシングの社会実装のさきがけとなることが期待されます。

 本研究成果は、2021年3月8日に、国際学術誌「Physical Review Applied」に掲載されました。

今回実証したフーリエ変換型赤外量子分光法のイメージ図
図:今回実証したフーリエ変換型赤外量子分光法のイメージ図
書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1103/PhysRevApplied.15.034019

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/261908

 Y. Mukai, M. Arahata, T. Tashima, R. Okamoto, and S. Takeuchi (2021). Quantum Fourier-Transform Infrared Spectroscopy for Complex Transmittance Measurements. Physical Review Applied, 15(3):034019.

メディア掲載情報

日刊工業新聞(3月9日 23面)に掲載されました。