「液体のり」の成分を利用した悪性胸膜中皮腫治療―ホウ素中性子捕捉療法用ポリビニルアルコール製剤の実用化に向けた画期的一歩―

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 鈴木実 複合原子力科学研究所教授は、ポリビニルアルコール(PVA)製剤の実用化を目指し、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に使用されるホウ素薬剤や類似化合物に、液体のりに使われるPVAを加えると、腫瘍集積性・滞留性、抗腫瘍効果が劇的に向上することを発見してきた小成田翔 東京大学特別研究学生、野本貴大 同准教授ら、およびステラファーマ株式会社(BNCT用医薬品を製造販売する企業)らと共同で改良を重ねてきた結果、悪性胸膜中皮腫を模倣したマウスの胸部悪性腫瘍を、副作用を抑えながら治療し、生存率を大幅に向上することに成功しました。近年普及しつつある加速器型中性子線源と組み合わせることで、悪性胸膜中皮腫をはじめとした難治性深部腫瘍の効果的な治療につながることが期待されます。日本発、世界に輸出可能な医療技術として発展させるべく、現在、日本医療研究開発機構(AMED)次世代がん医療加速化研究事業(P-PROMOTE)から支援を受けながら産学共同研究を加速させています。

 本研究成果は、2025年7月29日に、国際学術誌「International Journal of Pharmaceutics」にオンライン掲載されました。

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開発したポリビニルアルコール製剤による悪性胸膜中皮腫モデルの治療
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