物質中における極のないナノ電磁石の発見 -原子間ループ電流が引き起こす新しい電子状態を観測-

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 村山陽奈子 理学研究科博士課程学生、栗原遼 同修士課程学生(研究当時)、笠原成 同特定准教授、柳瀬陽一 同教授、松田祐司 同教授、石田浩祐 東京大学博士課程学生、芝内孝禎 同教授らの研究グループは、米国・コロラド大学と共同で、イリジウム元素を含むある種の酸化物においてアナポールと呼ばれる極のないナノ電磁石が形成されていることを発見しました。

 これは物質中において、ナノメートルスケールの微弱な電流が自然発生し、原子の間を閉じたループ状に流れるという、これまでに確認されたことのない新しい電子状態です。

 本研究成果は、2021年2月2日に、国際学術誌「Physical Review X」に掲載されました。

本研究のイメージ図
図:本研究のイメージ図
書誌情報

【DOI】 https://doi.org/10.1103/PhysRevX.11.011021

【KURENAIアクセスURL】 http://hdl.handle.net/2433/261236

H. Murayama, K. Ishida, R. Kurihara, T. Ono, Y. Sato, Y. Kasahara, H. Watanabe, Y. Yanase, G. Cao, Y. Mizukami, T. Shibauchi, Y. Matsuda, and S. Kasahara (2021).Bond Directional Anapole Order in a Spin-Orbit Coupled Mott Insulator Sr2(Ir1−xRhx)O4. Physical Review X, 11(1):011021.