公開講座 京大知の森(令和7年度秋季)を、2025年12月14日に国際科学イノベーション棟 HORIBA シンポジウムホール にて開催しました。
京大知の森は、京都大学の知を広く学内外の人々に向けて発信するため、2023(令和5)年秋から開催している公開講座です。多様な研究分野をもつ本学の「知の森」に、研究者の手引きのもと、講演や討論を通して分け入り、研究の面白さや意義をお伝えすることを目的としています。
第5回となる今回は、「量子科学技術の現在地 ― 0でも1でもない未来へ」をメインテーマに、竹内繁樹 工学研究科教授・附属光量子センシング教育研究センター長による「光子のふしぎと光量子センシング」、高橋義朗 理学研究科教授による「冷却原子方式量子計算と量子シミュレーション:基礎研究から社会実装へ」の2つの講演を実施しました。2025年が量子力学誕生100周年の節目となることに合わせ、量子の状態を制御する量子科学技術の研究について、量子の性質や理論、社会実装に向けた取り組みや将来の展望などを紹介する機会としました。
竹内教授からは、光の素粒子である光子を題材に、大阪・関西万博でも展示した量子もつれの実験実演の様子を交えつつ、この不思議な性質や、従来方式より高分解能の計測を可能とする「光量子センシング」の研究開発の現状などについて紹介されました。また、高橋教授からは、量子計算の基本単位となる量子ビットの仕組みや理論、量子ビットの方式の一つであるレーザー光による冷却原子(イッテルビウム原子)を活用した量子コンピューターの研究開発等について紹介されました。
講演後の両講師による対談では、参加者からの質問も交え、量子科学技術のAIや産業への影響、量子コンピューターと従来のコンピューターの展望、さらには量子の研究に将来関わりたい学生に向けた本学の研究室の特徴などのトピックについて、講師それぞれの見地から活発な対話が行われました。
当日は、参加申し込み多数による抽選の結果265名の参加があり、量子科学技術への注目の高さが伺えました。参加者からは、「専門的な話を噛み砕いて説明いただき、非常に興味のそそる内容で大満足でした」、「光量子センシングや量子コンピューターの仕組みは難しかったが、講演のおかげでざっくりとでも捉えることができたのは貴重な機会だった」、「最先端の技術開発に励むトップクラスの研究者の話を直接耳にすることができ大変有意義だった」などの感想が多数寄せられました。
関連リンク
- 本講演内容は、後日、「KyotoU Channel」にて配信します(2026年1月公開予定)。こちらは申し込み不要でどなたでもご覧いただけます。
KyotoU Channel - 参考記事・動画