京都大学レクチャーシップアワード2025 医学・生命科学分野の受賞者が決定しました

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 本学では、今年度より、「京都大学レクチャーシップアワード」を新たに創設しました。本アワードはノーベル賞受賞者を多数輩出してきた本学の伝統を背景に、将来の科学を切り拓く卓越した研究者を顕彰し、国際的な研究ネットワークの形成と健全な学術の発展を推進することを目的としています。

 本アワードの特色は、本学の研究者が厳正に選出した優れた研究者を京都に招へいし、特別レクチャーおよび交流を通じて触発の機会を提供する点にあります。受賞者と若手研究者が出会い、学問の最前線で培われた知と視座を共有することで、新たなインスピレーションの連鎖を生み、「未来を拓く研究の萌芽」を育むことを期待しています。

 創設第1回となる今年度は、医学・生命科学分野における選考が行われ、プリンストン大学教授であるClifford P. Brangwynne(クリフォード・ブラングウィン)博士(1978年生まれ、47歳)を受賞者として選出しました。

 ブラングウィン博士は、物理学的概念である「液-液相分離(LLPS)」が生体内でも機能することを実証し、細胞生物学に新たな基本原理を提示した研究で、国際的に高い評価を受けています。特に、その功績は、核小体、ストレス顆粒、転写因子の集合体やシナプス後肥厚部形成機構、さらにはALSなどの神経変性疾患の理解にもつながり、細胞生物学の教科書的理解を根底から刷新する成果となりました。

 博士の卓越した業績により、これまでに、ワイリー生物医学賞(2020年)、HFSP中曽根賞(2021年)、生命科学ブレイクスルー賞(2023年)、慶應医学賞(2025年) など、数多くの国際的な賞を受賞されています。

 今回の選定は、ブラングウィン博士が物理学的視点を細胞生物学に取り入れ、幅広い学術領域にパラダイムシフトをもたらした実績が高く評価されたものです。博士の研究は、遺伝子発現、記憶の制御機構、神経変性疾患など、様々な生命現象に普遍的な説明をもたらす理論的基盤を築き、学術の発展に貢献してきました。このような根源的かつ将来性の高い発見を、若年期から重ねてきた点も、今回の受賞理由の一つと位置づけられます。

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レクチャーシップアワードについて紹介する北川進 理事・副学長
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受賞者を発表する斎藤通紀 高等研究院教授(選考委員長)(受賞者発表動画より)
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レクチャーシップアワードの今後の展開について説明する若宮淳志 化学研究所教授(選考委員会事務局長)
 

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