吉川 潔(よしかわ きよし)

研究担当

特命事項
研究企画・戦略、研究支援、研究規範、競争的研究資金戦略、安全保障

メッセージ

平成24年10月1日から2年間、引き続き研究を担当させていただくことになりました。これまで同様、皆様がたからのご協力を得て京都大学の発展のため研究面で微力ながらも全力を尽くす所存です。

大学は多様性を特長とする知と創造の源泉であり、また、次世代を担う人材が人類の将来を切り拓く礎を築く場所であります。国立大学の法人化後、社会から、大学はますます個性化、国際化が要請され、社会の革新の牽引車の役割を期待されるようになりました。

とくに、今日の我が国の長年にわたる停滞を打破するため、研究・教育・社会貢献などの分野で、ドラスティックな大学改革が求められています。資源の少ない、かつ狭隘な国土にあって、日本が今後とも世界をリードしていく「輝ける国」となるためには、人的資源を十二分に活用した、先端科学技術に立脚した国作りが不可欠であると考えます。

そのためには、2年前の挨拶でも述べさせていただきましたように、京都大学の設立目的である学術研究の推進をさらに大きく進めることが肝要で、大学の置かれている厳しい現状を認識しつつも、凛とした気概と自律の精神の伝統を堅持し、学術の府としての存在をこれまで以上に国内外に大きく示すことが重要であると考えます。

とくに、研究面においては、教員が研究に専念できる環境を実現し、もって、各学術分野におけるトップレベル研究を推進するとともに、源流たる基礎学術の重視とこれらの分野に対する学内財政支援の充実化に取り組み、また、研究推進支援体制を強化することが重要で、これらを通して、国内・国際共同研究と産官学連携を大きく推進することが可能と考えています。また、次世代の研究者育成という観点から、若手研究員への手厚い支援体制の整備は喫緊の課題です。

これらについては、すでに、University Research Administrator (URA) プロジェクト獲得による学術研究支援室の創設、ならびに部局URA採用による京都大学URAネットワークの構築、競争的資金獲得支援のための名誉教授などによる科学研究費補助金申請書のアドバイス事業の実施、若手研究員の海外留学を支援する「ジョン万プロジェクト」の実施、京都大学の国際社会での認知度を高めるための、第2回日独6大学学長会議の開催(平成24年3月)、英国ブリストル大学におけるジョイントシンポジウム(平成25年1月10~11日)の開催企画、さらには広報および社会への情報発信を強化するため、シンポジウムシリーズ「震災後を考える(安全安心な輝ける国作りを目指して)」の実施、Research Activities英文冊子の発刊、Outreach活動、Academic Day開催、さらには、RU11研究担当副学長・理事等による、大学研究体制、環境の改善策の策定、提案、などに着手いたしました。

これらの施策をさらに強化することにより、京都大学が今以上に大きく社会に貢献可能となり、社会への情報発信の強化や革新的な研究成果の社会還元も実現できると考えています。

我が国は、現在大きな負債を抱え、経済的にも明るい出口の見えない閉塞感が漂う沈滞した状況にあります。これを根底より打ち破るためにも、多様性を特徴とする「知と創造の源泉」である大学こそが、今こそ大きな力を発揮することが重要です。また、上記の様々な施策により、初めて、高い志を有する優れた研究者、教育者、学生を京都大学が確保、維持、育成できると考えます。

皆様方のご理解、ご支援を得ながら、着実かつ迅速にその実現に向けて進めたいと考えておりますので何卒よろしくご理解、ご協力をお願い申し上げます。