野崎 治子

広報担当

メッセージ

 2022年4月に広報担当の理事を拝命いたしました。1978年に薬学部を卒業し、その後は『おもしろおかしく』を社是とする京都の分析メーカーで主に人事・人材育成、ダイバーシティ推進を担当してまいりましたので、新天地での重責に身の引き締まる思いです。

 国民共有の財産である京都大学は、多彩なステークホルダーを有しています。納税者や寄附者はその代表ですが、人生のかけがえのない時間を過ごす学生・教職員、卒業生や受験生、共同研究や学生の採用を検討する企業や研究機関・大学、取引先企業、一般市民、行政・地域に対する情報開示、説明責任が求められています。

 本学の広報は、先進的な研究成果を正確かつタイムリーに発信することに優れていますが、学外に対して「社会的価値を創造する」京都大学の全体像については十分に発信しきれていなかったように思います。
 大学とは、ステークホルダーからの有形・無形のインプットを、独創的な研究成果や志ある人財というアウトプットにかえて社会に還元するシステムです。たとえば、教養・共通科目を通じて自学自習への意識転換を促進する新入生向け少人数ゼミ、汎用リテラシーとして各授業に取り入れられているDXや英語学習、他大学に類をみないURA、留学支援や大学発ベンチャーを支援する体制は、いずれも京都大学の価値創造プロセスの一例です。

 世界に伍する研究大学の総合力を可視化し、媒体の選択や表現を工夫して学外からのアクセシビリティを高めるワンストップ広報の構築は、本学広報の喫緊の課題であり、グローバルに発信する体制整備も不可欠です。
 とくに学内のステークホルダーである京都大学の職員に、本学の現状と目指す姿、ギャップをうめる価値創造プロセスを提示することから始めたいと思います。自分たちの職務を誇りに思い、組織や専攻の越境を楽しみながら思う存分力を発揮することは、自身の成長だけでなく、学外のステークホルダーへの魅力的な発信になると確信しています。

 また、京都大学が創出したアウトプットは、ステークホルダーに活用されて初めて意味を持ちます。その成果の一部を京都大学への支援として還流したいと考えていただけるよう、発信と対話を繰り返して強固な信頼関係を構築することは、広報の永遠のミッションです。

 自由の学風のもと、ステークホルダーから必要とされ、愛され、選ばれ続ける京都大学であるために、微力ではありますが、精いっぱい努めてまいりますので、ご指導ご支援をよろしくお願いいたします。