村上 章 理事

 村上 章

 財務、入試、施設、環境担当

 

 このたび、理事・副学長として、財務・入試に加えて施設・環境を担当いたします。京都大学のために微力を尽くす所存です。
 新型コロナウィルス感染症がなかなか収束しない中、担当業務について様々な局面を迎え、従来通りでない運営が求められています。財務につきましては、世界経済は異次元の危機に直面して転換局面を迎え、我が国においても雇用、経済、財政が悪化する中、担当する業務の重要性と責任を再認識しました。コロナ禍において、日本の将来を担う学生の学習教育環境を護り、教員の学術研究基盤を安定化させることが何よりも重要であり、ポストコロナに向けてその取り組みを如何に発展させるかが課題であると思われます。さらに、本学の教育に関する基本理念である「対話を根幹とする自学自習」のもとで、学生が主体的に学問を深めるためのサービスを充実する支援も求められます。
 こうした状況を踏まえ、今後の戦略的な運営を行うために、第4期中期目標・中期計画期間を通じて安定的に財源を確保すると同時に、メリハリのある計画的財政運営を行うことが必要です。そのため、財政基盤となる国立大学法人運営費交付金に加えて、競争的資金、基金の拡充を目指します。
 入試については、感染拡大防止に最大限配慮しながら、受験生が安全・安心に受験できる場を提供し、受験機会の確保に努めます。特に学部入試は、大学が受験生、保護者、教育関係者や社会へ発信する重要なメッセージです。本学では、学力を基準とする一般選抜のほか、高校での学修における行動や成果、学部教育を受けるに相応しい能力と志を評価する特色入試を実施し、多様なバックグラウンドを持つ学生が入学しています。新学習指導要領に基づく教育課程を学修した高校生が大学を受験する時には、大学入学共通テストなどの入試も相応した姿となるでしょうが、意欲の高い高校生に本学の魅力や求める学生像が伝わるような広報活動にも注力したいと思います。
 今回より新たに所掌に加わりました施設について、本学のキャンパスには歴史的な建物から最先端の建物まで実に多彩な施設が存在し、本学の125年にわたる歴史において、その時々の時代の流れを建物という形でキャンパスに刻んでいます。学生、教職員はもちろん、本学に関わる様々なステークホルダーの皆様も、このキャンパスを大きな舞台として教育、研究はもちろん様々な活動を通じて活躍され、社会へ、世界へ羽ばたかれます。本学のキャンパスで過ごされた人々の記憶に残る環境整備を今後も続けていくことが肝要で、これらの施設を将来にわたり安全かつ快適に整備、管理、運用し続けていくことこそが本学の魅力を高めていけることであると考えています。
 さらにもう一つ新たに加わった環境について、大学の活動は人類の持続可能社会構築のために貢献するものでなければなりません。このため、まずは本学の活動に伴い発生する実験・生活排水や廃棄物の環境への負荷を最少にして学内外の環境保全に努めます。廃液や各種廃棄物の適正な処理を関係法令に基づき維持するとともに、社会全体での資源循環も視野に入れた各種資源の有効活用を実現していきます。また、研究のために必要となる化学物質や放射性同位元素等に関しても、関係法令に基づいて適正に管理し、各種有害物質が環境に漏洩するといった事故の発生を未然に防ぐため、関連施設の整備と学生・教職員への教育、啓発に努めます。さらに、近年重要性を増している省エネルギー施策実現のため、周辺自治体とも連携しながらエネルギー消費の最適化を行い、カーボンニュートラルを目指すスマート・キャンパスを実現します。
 上記のように業務にあたりたいと考えますので、引き続き皆様からのご支援とご協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。